愛しいあなたに復讐を。

@tomomo520

第1話 復讐。

始まりは嫌悪からだった。

人々を惑わし騙す悪女。あの女のせいで私の家族は壊れた。

悪女に惑わされ、父は私たを捨てた。けれど結局騙され、酒に溺れ最後には死んだ。

母は父が逃げてからおかしくなった。私に暴力を振るい、しまいには他で男をつくって私の前から消えた。

私たちは誰もが羨む幸せな家族だった。私も幸せだと思っていた。

たかだか一人の女のせいで私の、いや私たちの幸せは壊れたのだ。

許せない許せない許せない!!

あの女がいなければ、幸せなままだったのに。

私はこの時、復讐を胸に誓った。

そして、あの女を追ってこの館にたどり着いた。

「あなた綺麗な髪をしているのね。名前はなんというのかしら?」

女から話しかけてきた時は、正直驚いた。

けれど、チャンスだと思った。殺意を押し殺して無理やり笑みをつくってみてせる。

「……復讐。あなたの名前は?」

「復讐、ね。私の名前は悪女よ。一人で暇していたの、今からお茶を入れるから二人でお喋りなんてどうかしら?」

何も知らない悪女は私を誘った。

「…ええ、喜んで」

グツグツと怒りが煮えたぎる。人間は怒りが限界に達すると逆に頭が冷静になる。

ナイフで今すぐにでも襲いかかりたい衝動を抑え、悪女に微笑みを返した。

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