閑話 千沙の視点 ちょっ誰ですか?!
「いやぁ意外とあれだけ昼寝してても、夜になると眠気がしますね」
現在23時02分。私は例の事もあって、夕飯は食べずに拗ねてお風呂にだけ入り、今日はもう寝ちゃいます。
寝る部屋はさっきまでいた南の家じゃなくて、東の家に来ました。10時頃でしたね、ここに来たのは。
「部屋は2階ですし、階段が面倒ですね。かと言って、1階は部屋が狭いですし、なにより今更お引越しなんてやってられませんよ」
どこまでも面倒くさがりな私。本当にいつからこんなだらける生活をしてしまったんでしょうか。
「寝る前にゲームでもしましょうか。あの方もログインしているかもしれませんし」
私はそう言って携帯をとりだし、例のごとくCODを起動します。
「あっその前にトイレに行きましょう」
ゲームに集中するため、部屋の近くにあるトイレに向かいます。ですが、
「あ、あれ? 紙がないですね。予備も....危ない危ない。知らずにシたら身動きできない状態になりますよ」
「仕方ありません。下の階のトイレに行きますか....」
紙が無いので、私は別のトイレに向かいます。
「あ、あれ? 明かりがつかない。上は紙がない、下は明かりがつかないとか嫌がらせですよ」
まぁ紙さえあれば、私は女の子ですし、座れば大丈夫でしょう。
私は座ってしばらくして、
「これで一安心―――」
「あれ電気がつかない」
「?!」
そう言って私は紙を手にした時、ドアの外側から男性の声が聞こえました。
「え、えぇー。なんでぇ」
なぜここに男の人が?! それにこの声はさっき
待ってください、トイレで顔合わせとか嫌ですよ!! しかもここのドアは鍵ありませんし。どうしたら.......
『ガチャッ』
ちょっ!
『......ギッ、ギシッ』
「あれ? 立て付けも悪いのか。全然開かないぞ」
私は開けられないように、下着すら履けずに下を丸出しの状態で、内側のドアノブを全力で押さえ込みました。
本当は「入ってます」とか言えればいいんですけど、ナンパの一件以来、ちょっと男性の方に苦手意識を覚えました。
わ、私みたいな美少女が中に居ると知ったら、なにされるかわかりません!
『ガチャガチャガチャガチャ』
っていうか、この人、力強っ。でもここで黙ってやり過ごさなければ、本当に私の貞操が危ないです!
「仕方ない......両手でいくか」
え? 今まで片手? 両手って―――
「おらぁ!!!」
「きゃっ!」
「痛っ!」
私はドアノブを掴んでいたので、勢いよくドアが開いた時に外に出され、彼にぶつかりました。
「こ、これは.......む、胸板?」
「ぷにぷに?」
「ひゃんっ!!」
この人急に私のお尻を揉んできたんですけど!!
「はっ、はっ離れてください!!」
「え」
「いいから早く!!」
「あ、はい」
いつまでも鷲掴みされては困ります!
「んっ!! ちょっ、ちょっとなんで余計強く掴んでるんですか!」
「ごめんなさい! 体が言うこと聞かなくて!」
きゅ、急に強くしないでください!! そ、それに指先がちょっと当たってますし。なぜ言動が一致してないんですか.....。
「今退きます!!」
「きゃっ」
仰向けになっていた彼に乗っかかった状態の私を無理矢理退かされました。
私は成す術もなく、腰から床に落とされます。
「っ?!」
女の子座りになった際、まだ下着を履いていない私には、直に床の上に私の肌が当たって、冷たくて思わずビクッとしました。
「こっち見ないでください!!」
「は、はい!!」
彼はそんな私を黙って見ていたので怒鳴ってしまいました。
「うぅ。まさか、あなたがここにいるなんて」
「本当にごめんなさい、人がいるとは思いませんでした......」
反省する彼。なぜ
.....そもそも私も普段なら上の階のトイレを使っていましたし、紙さえ自分で補充していたら防げていたことかもしれません。完全に彼に非があるとは言えないので責められません。
「も、もういいです。で、貴方がアルバイトで来た“高橋”さんですか?」
「え、えぇ、そうです」
私たちはそう言ってお互い、向き合って初めて顔を見ます。
「あ、ああ貴方は....」
「お、おお前は....」
「「
前言撤回です。“初めて”じゃないですね、
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