ながれる

必要以上に自分を傷つけて

生命を保った


死ぬ勇気がなかったのに

中途半端に切りつけた死に損ないだと

知らない人が指をさす


ものに当たれない、八つ当たりできない私は

自分に当たった

この苦しみの根源が自分の中にあって

汚れた水が溢れ出してくるみたいだったから

代わりに鮮やかな血を流しただけだったのに


ラジオから流れてきた音楽が

そっと耳をなでて


そこから溢れ出したのは

真珠みたいな涙の粒だった


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