Link. ~すべての世界線がつながる物語~(再編集)
ヤマ
第1話
――さて、唐突ながら世界に対して質問させてもらう。
質問内容は――『この世界は残酷か否か』。
――。
――考えてくれた方は、その回答を胸に秘めておいてほしい。
さて、その質問に対する俺――香月空の見解だが、世界は残酷に決まっている。
そう思う者が大半を占めるのではないだろうか。
それにはいろいろな見解があるはずだ。そしてその見解に、間違いは一つもない。
――否、そもそもこの世界には間違いはないはずなのだ。神とやらが勝手に作り出し、幾度とない運命を、古人は『神の導き』だとか何とか嘯いている。
数学も国語も理科も、その全てにおいて、正しさは存在しない。誰かの偶然を、世界が『正』と認めた。それでは、その偶然がなければどうなっていただろうか。――その全てがきっと間違いになる。そんな不安定をよくもまあ正しいと呼べたものだ。全てが間違いであるなら、正しさも違いも存在しないに等しいのだから。
ゆえに、真に正しい者は世界から疎まれる。それが世の常だ。『正』が疎まれ、『誤』が歓迎される。
――皆もそのぐらい知っているのではないか? 身近な例を挙げよう。学校での出来事だ。あなたは学校で可も不可もない生徒だ。可も不可もない生徒、自分よりも頭の悪い生徒は、確定して一人はいる状況。その人は所謂問題児だ。ここまで状況を伝えてきたが、気付いた者もいるのではないだろうか。――そう、何故問題児が教師の目を引き、そして目立っているのだろうか。そいつは悪い生徒のはずなのに。どうしてそいつより勝っている生徒に目を向けていないのか。少なくとも俺はそうだった。普通で平凡で、なのに人気度は悪い奴らよりも低いのだ。そうやって悪い奴を押し上げているから、今の社会が出来上がってしまったのではないだろうかと、俺は考えてしまう。
――それ故に、俺は学校をやめ、今、自分の部屋で自らが有意義だと思うことをしている。そうした方が、生産性があるようにすら感じられる。
学校なんて意味がない。独学でも学習は出来るし、学校での友達などたかが三年間の付き合いで、その後は一切の関係がなくなるだろう。
俺の今いる場所は、教科書の前ではなく、無機質に音を流す機械の前。
俺が選んだそれさえも、最近刺激の少ないものに変わり果てようとしている。
さて、明日からはこんな刺激の少ないものなんて捨ててしまって、明日から惰眠を貪ろうか。いや、何なら今日から貪ろうか。
そう考えながら俺はベットへと向かった。
――季節の問題もあってか、妙に寒い。だがそれも、心地の良い温かみに変わっていく。
そのまままどろみ――深い眠りへとついた。
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