第185話


「理由はどうであれ、誰もいない家に男を入れたらダメだろ! ご両親がいるときにしなさい。」


安藤はノエルを叱った。


「おまえはどうなんだよ! 俺がいるって知らなかったくせに、ノエルしかいない家に入り込もうとしたんじゃねーかよ!」


「君、警察呼ぶよ。」


安藤は俺を睨みつけて言った。


「呼べよ! 勝手に呼べ!」


やっぱり俺はこいつをぶん殴ってやろうかと思った。


「乃海君、あのことは今度また連絡するから。今日はもう遅いし、ね?」


ノエルは俺を止めに入った。


俺はノエルに迷惑をかけたくなかったので、悔しいけど殴りたい気持ちを我慢した。


ノエルに促されるまま俺は玄関の外に出た。


すれ違い際に安藤が俺の耳元で囁いた。


「おまえ…どっかで会った?」


俺は振り返って安藤を見た。


確かに俺はこの目を知っている。


安藤を見ていると、体中の毛穴から憎しみが湧いてきた。


俺はこの男が嫌いだ。


今日の事が原因じゃない。


何故か分からないが、気が狂いそうになるほど嫌いだ!

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