第143話


どんな人このキーホルダーを受け取るんだろうと思うと、胸がワクワクした。


家に帰って、私は今日手に入れた石のことを調べた。


スマホで検索すると、どうもマラカイトという石に間違いないようだった。


この石は孔雀石とも呼ばれているらしい。


この石は、恐怖や不安などのネガティブな感情を取り払ってくれる効果があると書いてあった。


手のひらのマラカイトをじっと見てみると、吸い込まれそうな美しい緑色が私のネガティブな感情を吸い取って浄化していくような感じがした。


これは、今まさに私に必要な石なのではないかと思えて、この巡り合わせに感謝した。スマホでさらに検索すると、石言葉というものがある事を知った。


「マラカイトの石言葉…再会、恋の成就…。」


私はそれを読んで、私も誰かと再会して恋が成就するのだろうか? なんてロマンチックな妄想をしてみたけれど、現実に思い当たる人などいなかったのであった。


ふと、四葉を見つけた時の幻聴を思い出した。


私を「由紀子!」と呼んでいたあの声…。


その事を思い出したら胸がドキドキ高鳴ってきた。


あの声の主は誰なんだろう…?


単なる幻聴なんだろうか?


もしも実在する人なんだったら会ってみたいな…。



いやいや、あれは単なる幻聴だよ…。


私は頭を振った。


あまりに自分の生活の中にロマンチックな要素が無い故の妄想に過ぎない! と、我に返った。




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