第133話


「安藤先生もそうおっしゃってるわ。もう少し頑張ってみたらどう?」


子供の頃から母の言葉は絶対で、私は条件反射で服従してしまう。


そこに先生も加わって説得されると、自分の方が間違っていて、困難から逃げ出す臆病者のように思えてくる。


そんな自分が嫌になった。


ふとおばあちゃんの顔が浮かんだ。


自分の気持ちを優先させなかったために、一生後悔するような傷をいまだに心に抱えている祖母。


その傷をえぐられるような痛みを私に教えてくれた。


私は自分の気持ちを大切にしなければいけないと思った。


「もしこのまま頑張って成績が上がったとしても、私は工学部には行きたくないの。建築にも興味が無いの。したくないことを頑張っても意味が無いと思う。私は自分のしたい勉強をします。」


私は勇気を振り絞って言った。

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