第130話
私は祖母のラジオを撫でた。
「このラジオには、そんなロマンチックで悲しい物語が秘められていたのね…。」
祖母はそう呟く私の頭を優しく撫でた。
「私もね、ノエルみたいに家とか両親の事ばかり優先してたの。物心ついたころから女は親に従い、結婚してからは夫に従うものと教わってきたからね。…そして本当に大事な物を自分から手放してしまった。結局、私の苦渋の決断は何の役にも立たなかった。」
おばあちゃんは私の方を向いて言った。
「私は自分だけが家族を救えると思い違いをしていたの。私如きが何をやってもダメになる物はダメになるのよ。私は私の気持ちを大事にするべきだったの。」
祖母の目には薄っすら涙が浮かんでいた。
「おばあちゃん、私、もっと自分の事を考えてみようと思う。」
「そうね。私はノエルが幸せであってほしい。それが私を幸せにするし、あなたのパパやママも本当に望んでいるのはあなたの幸せだと思うわ。」
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