第128話


「そうやって努力でカバーできるなんて、私はそれも素晴らしい頭の良さだと思うわ。」


「そうかな?」


単純な私はその言葉に救われた。


祖母と話していると気持ちが軽くなって、お菓子をもう一つおかわりした。


「おばあちゃん、おばあちゃんの寝室にあるラジオみたいな機械って、何なの?」


私が何気なく聞くと、祖母は少し悲しそうな顔をしてしばらく窓の外を見た。


「あのラジオは…私のお父さん、あなたの曾おじいさんの物だったの。」


「そっか、曾おじいちゃんの形見なのね。」


「まあ、形見でもあるのだけど…私にとっては、他の思い出が詰まった宝物なのよ。」


「…他の思い出…?」


「そう。私が生きてきて、一番幸せだった事と、一番辛かった事が、あのラジオの中に詰まっているの。」

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