第120話


 小学校、中学校までは、血の滲むような努力の甲斐あって、成績は上位をキープしていた。


母に成績表を見せると、とても喜んでくれた。


中学が終わり高校に入った頃、母は私に更なる期待を抱いた。


大学はさらにハイレベルなところを目指してみたら、と薦めてきた。


旧帝国大学レベルの工学部建築学科に入って、父の跡を継がせたいというのだ。


私の通っている中学は地方の私立に多いタイプの学校で、大学まで直結しているが大学はそんなにレベルが良くなくて、ほとんどの優秀な生徒は関東や関西の有名大学や、その他国立大学に進学する。


母は私にもっと頑張れば更なる飛躍を遂げられると信じて疑わなかった。


母の期待を裏切りたくない一心で、私は受験を決意した。


すると母は張り切って、親戚の知り合いの大学生を私の家庭教師につけた。


家庭教師は安藤雅人という地元国立大の医学生だった。


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