第78話
「多分無くなってるような気はしてたけど、案の定だね…。」
旭が残念そうに言った。
「さて、どうするよ?」
類は俺に聞いた。
「とりあえずこの辺りを少し歩いてみるか。」
俺たちは大黒堂跡の近くを歩いて回った。
もしかしたら何か手がかりがあるかもしれない。
「移転とかしてるんじゃないか?工場が手狭になるとよく移転することとかあるし。」
「ちょっと調べてみる。」
俺はスマホで大黒堂の事を調べた。
しかし出てくるのは他県の漢方薬局だったり骨董品屋だったりで、俺の探している大黒堂の事は何一つ載ってなかった。
「やっぱないわ。相当昔に店自体が無くなったのかもな。」
俺たち三人は溜息をついた。
近辺をブラブラ歩いていると、昔大きな屋敷だったような土地が小さく分けられて、庭は無く駐車場が二台、二階建てで3LDKという、若い世代が好きそうな明るい感じの家が全く同じ方向で並んでいたりする。
その家に罪はないが、積み重ねてきた街の歴史が消え去っていく感じがして寂しくなった。
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