第73話


その街は、昔炭鉱で栄えていたらしく、当時は人口もすごかったらしいが、今は衰退してしまって、駅前の商店街もシャッター街になっている。


駅舎だけは妙に立派で違和感しかなかったが、それは地元を活性化させる為に近代的に建て替えたらしい。


説明が書いてある看板に建て替える前の昔の駅舎の写真があった。


俺的にはそっちの方が風情があっていいなと思った。


駅だけ近代的にしても、果たしてこの街は近代化するんだろうか…。



 大黒堂の場所は、商店街を抜けた先だった。


商店街の中は、何軒かだけまだ営業している店があった。


三人で商店街の中を歩いていたはずが、いつの間にか旭がいなくなっていた。どこにいったんだろうと類と二人で辺りを見回していたら、両手に袋を提げて嬉しそうにやってきた。


「いい匂いがすると思ったらお惣菜屋さんがあって、めっちゃ美味しそうなメンチカツがあったから買ってきた。他にもいろいろ買ってきたよ。」


見ると唐揚げや焼き鳥、コロッケなんかも入ってる。


「一人300円ね。」


旭はメンチカツを幸せそうに食べながら俺たちに金を請求した。

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