第71話
「そう言えば…ばーちゃん、亡くなる前に入院してた病院にお見舞いに行った時、みんなが先生に話を聞きに言って俺しか病室にいなくて、その時俺にこんなこと言ってたな。
(私は和夫さんと結婚できただけで私の人生万々歳なのよ。私みたいのをもらってくれて、ほんとにあの人は優しい男だよ。こんな可愛い孫の顔も見れたしね。ほんと…感謝しかない。)
って。もしかしたら、じーちゃんが澄子さんのことを思い続けてたのを知ってたのかもしれないな。」
祖母は、大雑把で小さいことなど気にしないような人だったけど、やっぱり愛する人の気持ちは誰よりも敏感に分かっていたのかも知れない。
ふと横を見ると、類が口をへの字にして涙をボロボロ流していた。
「おまえ、いつもながら感情移入が激しいな。」
俺は思わず笑ってしまった。
「しょうがねえだろ!昔の恋バナって、何でこんなもどかしいんだ!切なすぎるだろ!」
旭を見ると、こっちも目頭に手を当てて涙ぐんでいた。
「なんか…乃海のばーちゃん、可哀相だな…。ある意味、一番辛い思いをしてそう…。」
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