第32話
結局ミズハラノエルらしき人はわからず、俺は宝箱のあった看板のところに戻ってノートに記帳した。
キーホルダーは、同じ物をまたもらうのも悪い気がしたので、次の発見者に譲ることにした。
宝箱を元あった場所に移して、ボーッと目の前に広がる海を見ていたら、こちらを背にしてベンチに座る女の子がいるのに気が付いた。
長い髪が海風に吹かれてキラキラしていた。
あの子がミズハラノエルだったらいいのにな…と思った。
しばらく見ていると、あの子はほんとにミズハラノエルなんじゃないか? と、根拠の無い確信さえ生れてきた。
勘違いだったら恥ずかしいけど、このチャンスは逃がすべきじゃないと思って、話しかけようとしたその時、向こうからその子も彼氏らしき人がやって来て、二人はどこかへ行ってしまった。
俺はなんだか変な気持ちになった。
まるで告白もしてないのに振られたような気分だ。
女の子なんて面倒臭いと思っていたはずなのに…。
この物悲しい気持ちを慰めるが如く、たまたま入ったラーメン屋がめちゃくちゃ旨かったので、落ち込んだ気持ちも少し浮かばれたような気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます