第3話
施設のゲートをくぐり駐車場に車を止めると、職員さんがすでに迎えに出てくれていて、じーちゃんの為に車椅子を用意して待ってくれていた。
職員さんたちに挨拶をすませ、施設の中に入ると、目の前の大きな窓に海が広がっていた。
どこまでも広がる水平線に澄み切った空。
絵画のように美しい景色がよけいに寂しく感じた。
じーちゃんの部屋は3階にあった。
その部屋もオーシャンビューで気持ちのいい部屋だった。
この施設の部屋は、全てオーシャンビューなのだそうだ。
海に向かって部屋が一列に並んでいるのだった。
「ステキな部屋ね。」
「広さも十分あるようだね。」
父と母は一通り部屋を確認すると、職員さんと話してくるからと言って、部屋を出て行った。
俺はじーちゃんがベッドに移るのを手伝った。
「じーちゃん、疲れてない?」
「ちょっとな。」
じーちゃんは引越しが無事済んで安心したのか、ほっとしている様子だった。
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