出会い

第2話

 季節は初夏。だんだんと日の強さが増してくるそれは、影にいればまだ涼しいものの日向に出て少し歩きなどすればじわじわと体から汗が出てきているのがわかる。まるで砂漠のような季節。しかし、それは目だけで判断した自分の妄想に過ぎない。窓の外から目線を天井に戻す。真っ白な天井、真っ白な布団、寝転がっていても不自然に見える真っ白になった足。ここは病院だ。

先日、バスケの大会が行われた。3年生の引退がかかった大事な試合だった。まだ2年生であるが、レギュラーに選ばれていた自分は試合だからといって変に緊張していたのか、その時の自分はどんなだったかは分からないが、多分、気を抜いていた。試合中、チャンスだと思ってジャンプをし、シュートを放った。その放物線は綺麗な形をしてゴールに向かっていったのをみていた。しかし、それが良くなかった。ボールの行く先を見ていたばかりに周りのことが全く見れていなかった。リバウンドを奪いに来た少しガタイのいい相手チームの選手に少し背中で体を押された。ちょうど自分が着地をしようとした時だった。膝が違う方向に曲がったような気がして激痛が走る。痛くて拳を握りしめることしか出来なかった。それから病院で見てもらって半月板損傷というバスケットボールでよく見られる怪我だと言われた。こういう訳で現在、病院に入院している。経過観察のため、1週間の入院を余儀なくされた。何も1週間も入院はしなくていいんじゃないか、そう思っていたが、絶対安静だと言われて頷くしかなかった。手術はしない、と言われてほっとしたのも束の間、次同じことがあったら手術だと軽く脅された。

それにしても病院というのはやることが少ない。テレビを見るにしてもお金がかかるし、突然の入院で読書するための本もまだない。携帯を見つめているのもいいがそれにも限界がある。それに加えて歩くのには松葉杖が必要で。1つため息をついた。冷静になって考えれば考えるほどあの瞬間を思い出す。もう少し自分がしっかりしていればこんなふうになることも無かったのに、と後悔ばかりが自分の頭の中を埋め尽くす。あの時自分の前に立っていた相手の選手のせいだ、と自分の中で納得させて忘れようと思ったものの、さすがにそれは自分のプライドが許さなくて。1度寝てみよう。寝たら自分の知らないうちに時間が経っているはずだ。そうすれば退屈な時間もきっとあっという間に過ぎる。一日を寝て過ごすなんて褒められたことではないが、たまにはいいか。なんて思っては瞼を閉じて、眠りについた。

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