第12話ミコトの奮闘記Ⅰ 始まり


蠱惑ノ森、何故だかこの森の中の魔物は他と比べてかなり強力だ。


更には人が立ち入って帰って来なかったりと様々な噂話から、誰も寄り付かない不気味な場所でもあった。


そんな森に彷徨ってしまった。



〝ヴァンプモンキーの討伐〟



初めはグランドワイズの近くにある村からの依頼で、特に女性が狙われ、死人まで出ているという事だった為にその依頼を受けた。


最初に対峙した際、こちらが明らかに優勢だったのだが、彼女をヴァンプモンキーに殺されたという男が復讐心から横やりを入れて来た為にうっかり逃してしまったのだ。


必至に追いかけ、最後まで依頼を遂行しようと駆けたが、その猿が入ったのは蠱惑ノ森だった。


流石に夜も更けていた為、追尾を中断して翌日に森へと向かった。


夜が明けているのに森の中は薄暗く、冬季であった為に雪が積もって何とも言えない不思議な空間だった。


とりあえず雪が降る前にと急いで探したが、討伐対象は気配を出さない。


そうしている内に森の中で迷ってしまい、歩いていると時おり魔物が襲って来た。


討伐に問題はないのだが、それでもここの森に生息する魔物は非常に好戦的で強かった。


特にクロウベアは最近戦った魔物の中では別格だったな。


とは言え、私もそれなりに強くなったから負ける事はなかったが。


そうしている内に、気付けば数時間と立っていた。


正直、今の時刻は分からない。


と考えているととうとう雪が降ってきてしまった。



「これはまずいな……どこか洞窟の様な場所でもあればいいが……」



そう思って木を登り、辺りを見渡すと一軒の小屋が見えた。


しかも、どうやら人がいるらしい。


蠱惑ノ森は人が寄り付かないと聞いたのだがな?


まあ、行ってみよう。



そして小屋の前行く途中でまたもクロウベアが襲って来た。



「はっ!」



シャシャっと二連撃を与えて、絶命。



「そうか……どうせならこれを土産にしよう」



もしかしたら食料に困っているかもしれないからな。うん。


なかなかの巨体だが、持ち上げるのは問題なさそうだ。


そうして大きな熊の魔物を肩に掛け、ようやく小屋へと辿り着いた頃には雪も本格的に降っていた。


ドサっと魔物の亡骸を置き、一度深呼吸をする。


そして――



〝たのもー!!〟











時は戻り、現在。


センに修行をお願いして翌日。


既にライナとセリアはグランドワイズへと戻っている。



「今日も大太刀の素振り5回な?」



「分かった」



ブン、



「ぐぎぎぎ……」



ブン、



「ぐぬぬ……」



ブン、



「くふぅ~」



ブン、



「ぬぉぉ~!!」



ブン!



「はぁ、はぁ、終わった、ぞ?」



「おう、お疲れ」



「と言うか、これだけなのか? 私の鍛錬は……」



実際に疑問に浮かぶ。本来の修行であれば型を教わったり、実際に魔物を討伐したり、後はセンを相手に組手などだ。


だが、センは素振りしか教えない。何故だ……?



「いや、だって倭出身なら家でやってたのがあるだろ?

そもそも刀の扱いとか武芸に関してならお前の方が上だ。

俺は5歳までしか教わってないからな。

それに、俺自身も大太刀の素振りと、後は完全に我流なんだよ」



「そうだったのか……でもなぁ……な、なら一度試合形式でお願いしたい!」



「やだよ面倒な」



「良いではないか! 引き受けたからには最後まで面倒を見る責任が君にはあるのだ!」



ドーンっという効果音が響きそうな勢いでミコトが人差し指をセンに指す。



「ったく」



そして二人は外へと出て武器を構えた。


とは言っても抜刀はしない。


殺し合いではないからな。



「俺も太刀の方が良いか?」



「いや、そのままでもいい。 行くぞ!」



ダッとミコトが勢いよく踏み出し、納刀した状態でそれを振るう。


ガン


ガン


鞘と鞘がぶつかり合い、鍔ぜり合う形になった。



「お前、十分強いだろ」



「でもセンには敵わない。 それじゃダメなのだ! はぁ!」



再び距離を取ったと思えばミコトが踏み込み、身を屈めて懐へと侵入する。



柄当て、付き、回転撃き。



ミコトの素晴らしいコンボがセンの胴体を撃ち抜いた。



「がはっ、いててて……」



「どうだ! 私だってやれば出来るのだぞ!」



ミコトは自慢げに胸を張って告げる。



「だからそう言ってるだろうが。 じゃあこういうのはどうだ?」



センが抜刀こそしないが、抜刀の構えを取って身を屈めた。


すると、その周囲は異様な緊張感に包まれる。



「なっ、センの間合いか……まるで異質な空間に踏み込んだような感覚だ」



警戒しつつもミコトも構え、ジリジリと距離を詰める。


しかし、これまでのセンの抜刀速度を考えると確実に先に斬られてしまう。


どうにかその対処方法はないかと模索する。



「俺の抜刀と納刀は早いだけだ。 まあ見切れたらお前の勝ちだな」



「そうか。 では心して掛かろう」



お互いに集中力を高めながらもじりじりと距離を縮める。


そして、ミコトの足が間合いに入った瞬間――



ブォン!!



突如吹き荒れる風圧にミコトはバランスを崩してしまった。


そして、よく見ればセンが持つ大太刀の鞘が首元で止まっていた。



「はい、俺の勝ちな」



「くっ、くそ……見切れなかったか」



ガクっと地面に崩れ落ちるミコト。



「まあ、一瞬反応出来たみたいだから頑張ればその内見えるようになるだろ」



実際に抜刀の様に振り抜いた瞬間、ミコトはピクっと反応して刀が少しだけ前に出た。


今は完全に反応し切れてはいないが、後々を考えると言い相手になるかもしれないな。











その日の夜――



「そういえば魔女って知ってるか?」



センが突然、魔女と言う単語を告げて来た。



「魔女か……確か数百年前までは存在したと学園などの教科書には載ってるな? 今では居るか居ないかすら分からないが」



「そう、その魔女がさ、この森の奥に滝がって、その更に奥の洞窟にいるんだよ。 ちびな魔女っ娘だけど」



「何っ!?」



「この前たまたま会ってな。 凄かったぞ。

魔法とか無詠唱で連発してくるし」



「無詠唱とは……まあ魔女らしいと言えばそうだな」



「明日行くけど、来るか? 良い修行になりそうなんだよな」



「おお、修業か! 分かった!」



「よし、じゃあ寝るぞ」



「ああ、あっ夜伽は必要か?」



「はい?」



突然、ミコトは意味の分からない事を言い出した。



「何故だ? 寧ろお前が欲求不満か?」



「いや、泊めてもらっているし、修業も付けて貰ってるからな。

私はその恩を返す方法も知らないし、なら身体しかないのでは、と」



「お前、もう少し貞操概念どうにかしろよ。

貴族じゃないにしても自分の身体は大切にしろバカたれ」



「ま、まさかセンにそんな事を言われるとは思わなかった……すまない」



少し涙目になりならが、自分の発言に対して反省をする。

そして、しっかりと諭してくれたセンに対して感謝の気持ちでいっぱいになった。だが――



「まあ、良いなら遠慮はしないけどな。 じゃあ、早くこっちに来い」



「おい、先程の感動を返してくれ」



俺も男だからな。


据え膳喰わぬはなんとかって前に言われたし、ミコトの大きな胸は何だかんだ言って居心地が良く、快眠には必須なのだ。



「君は大きな胸が好きなのか?」



「男は誰でもそうだろ。

まあ好きな事に変わりはないけど」



「そうか。 まあ好きにすると良い」



「言われなくても」



「んっ……」












翌朝、二人で早朝に起き鍛錬開始。



「ミコト、今日は10回で頑張れ」



「じゅ、10回!? う~ん、まあやってみるとしよう」



ブン!ブン!っと5回まではどうにか出来る様になった。


しかし、6回、7回と次第に振り上げるまでに時間が掛かる。



「はっ………ち、はぁ……はぁ……ききききき……ゅう、……くはっ、ぜぇぜぇ……じぃぃぃゅー……………うっ……」



「どうにかって感じだな。 そのままさ、自分の太刀使って抜刀してみ」



「ば、抜刀……」



ミコトが自分の太刀を腰に据え、抜刀の構えを取る。


そして、カッと目を見開いて勢いよく抜刀をした。



シャッ!!



ブォンっと風圧が巻き起こり、辺りの草木が舞い上がった。



「なかなかの速度だな」



「おお! セン、今のはかなり早いと思うのだが!!」



「ああ、多分余程の手練れじゃなければ見えないまま斬られて終わるだろう」



「おおぉ! ちゃんと強くなっている! ようやく実感出来たぞ!

ありがとう、セン!」



「いや、まだまだだろ。 お前は10回、俺は1000回だぞ。

その差を忘れるな」



「1000回って……悪魔の如く果てしなさを覚えるな……」



「そりゃあ俺だって100超えるのにどれだけの月日を要したか。

まあ、頑張れ。

じゃあ行くぞ、魔女のとこ」






そして二人は魔女っ娘ミラーナの所へと向かった。

以前、ガイコツ戦士群が襲い掛かってきた洞窟内の広間。

だが、今回は普通にミラーナがその姿を現していた。



「ぬっ、まさかお主が女連れとは……して、何か用かの?」



「おお、これが噂の魔女っ娘か!」



「魔女っ娘言うなぁ!! 初対面で失礼な奴め!」



「まあ、来たのは気分だ。 後、この前ガイコツ戦士沢山出して来ただろ?こいつの良い修行になると思ってな」



ミコトを前に出して挨拶をさせると、ここに来た理由を簡単に話した。



「お主は自分勝手じゃの、前もそうだったが。

で、お前名は?」



「私はミコトだ。 センと同じく倭国の出身でハンターをしている」



「そうか。 既にセンに抱かれているようじゃの。

匂いがプンプンするぞ」



「なっ、そうなのか!? それは参ったな……」



「何で参るんだ? 寧ろ誘ったのはお前だろ」



何故か自分の身体をくんくん嗅ぎながら顔を真っ赤にし始める。


ん~、こいつの羞恥ポイントが分からん。



「どうでも良いが、とりあえず修行したいならいいぞ。

今日は気分がいいからな」



「本当か!? 助かる! ありがとう、魔女っ娘ミラーナ!」



「だ~か~ら、妾は魔女であって魔女っ娘ではないのじゃっ!!」



そして、ミラーナが複数のガイコツ戦士を召喚してミコトがそれを次々に倒していく。


それを広間の隅っこでお茶を飲みながら眺めていると、ミラーナが不思議そうな様子でこちらを見つめていた。



「何だ?」



「いや、人間嫌いと言っておったが、意外とそうではないのだな?」



「ん~、最近俺も分からなくなって来た。

まあ一人が好きなのは変わらないが、と言うよりもあいつらが有無を言わさず来るんだよ」



「そうか。 じゃが、悪い気はせんのであろう?」



「そうだな。 まあ現実として受け入れてるんだろうよ」



事実、本当に嫌いなら関わらないし助けもしない。


勿論、誰かれ構わずではないが、せめて側にいる者ならそこまで嫌悪感は抱かなくなった。


だから、とりあえずは今のゆったりした環境で生活が出来ればそれでいい。



「まあ何にせよ、自由なのが一番じゃ」



「そういえばお前、呪いの解き方はどうしたんだ?

ってかもう何百年も探してるんだろ?」



「そうじゃの。 とりあえずそれっぽい方法はあるのじゃがな、世界中を回らなきゃならん部分で躊躇っておる」



「ああ、わかるはその気持ち。

しかも今の環境で満足してる自分もいるんだろ?」



「おお、分かってくれるかの!? さすがこの森に住んでる変わり者だけあるの」



そんな二人を余所に、そろそろ限界を感じていたミコトが声にならない声を上げていた。



「かはっ! い、いつっまで……つ、くんだ……はぁはぁ」



ガイコツ戦士群を召喚してから気付けば2時間程が経過していた。


その間、センとミラーナはお茶をしながら雑談をしているが、ミコトは戦いっぱなしだ。



「セ~ン! はぁ、はぁ、休憩……を……」



「アホか、休憩しながら戦うんだよ。 外の魔物は待ってくれないぞ?」



「なっ!? 何ぃ~!?」



「大丈夫だ。 死ぬ前には助けてやる。 ミラーナが魔法で回復もしてくれるしな」



「お、鬼ぃ~!!」



その後、更に2時間程戦った後、ミコトはダウンした。


そして1時間後――



「こ、ここは……」



目を開けると知らない天井、そしてふかふかのベッド。



「な、何だこのふかふかなベッドは!? センの小屋のベッドとは大違いじゃないか!!」



「うむ、起きたようじゃの」



「あっ、まじょ――「ミラーナじゃ」――」



「ミラーナ、ここは?」



「しれっと魔女っ娘と言いそうになりおって。

ここは妾の小屋じゃ。

センなら先に帰ったぞ。

二日はここで修業しろ、だそうだ」



「そうか、すまない。 迷惑ではなかったか?

急に来て修業してとか」



「まあ迷惑なのは事実じゃの。 だが、たまには人と接するのも悪くない。

もう何百年も誰も来んかった場所にセンが来て、ちょっと楽しく感じてる所じゃ」



「そうか。 ありがとう」



こうして夜はミラーナの小屋で過ごし、翌日は早朝から地獄の戦闘が始まる。


それを二日間みっちりと行なって三日目には一人で問題なくセンの小屋へと戻って来れた。



「セン、戻ったぞ」



「ああ、じゃあさっそく大太刀素振り10回な」



「なっ、君も魔女も大分スパルタだな……おそらく私でなければ逃げ出してるぞ」



「お前は逃げないって知ってるからな。 でもその分確実に強くなってるはずだぞ?」



そうセンに言われると何故だか嬉しくなる。


そして、そのまま大太刀の素振りを開始した時に何かが変わった。


「7……8……9……10……11……12……」



あれ?あんなに10回が辛かったのに……何回まで行けるだろうか。


ブォン!


ブォン!


素振りをするたびにその風圧が吹き上がる。


それを繰り返していると、流石に腕が疲れて上がらなくなって来た。



「46……ぐぎ、47……はぁはぁ、4……8、ぐぐぐ……49……はぁ、ごーじゅうぅぅ!!!」



ゴトっと大太刀を地面に置き、四つん這いになって息切れを整える。



「ほう、50回までいけたな。 良い成長じゃん?」



「はぁ、はぁ、どうして急に50回も?」



「まあ、魔女の洞窟はここより酸素が薄いし、その上でガイコツ達と何時間、何十時間も戦ってたら嫌でも筋力と体力は上がるだろ?」



「そ、そうだったのか……はぁ、はぁ」



「とりあえず水浴びしてこい」



「わ、分かった」



そして、しっかりと汗を流して小屋へ戻った。



「そういえばもうすぐ試験なんだろ?」



「ああ、そうだったな。 これなら問題なさそうだ」



「銀級ねぇ~、俺はまだ赤だし、そこまで行こうとは思わないけどな」



「まあセンは興味無さそうだからな。 ただ、私は父との約束なのだ」



そして、ミコトがハンターになった経緯を始めてセンに話した。


父との約束である銀級へと至れば婚姻を結ばずに済むという事。


更に名お挙げれば武士として仕える事が出来るという事を。



「なるほどな。 お前も大変だったんだな。 でもその目標も達成出来そうならいいじゃん。 全部お前の努力の結果だし」



「ああ、センには感謝してるぞ! ありがとう」



「やめれ。 それに既に処女じゃないお前は婚姻と言ってもそれこそ大変だろうに」



「ああ、確かにそうかもしれないな。 まあ捧げてしまったものは仕方ないが」



「そのあっけらかんとした貞操概念、さすがとしか言えん」




そして翌日にはミコトがグランドワイズへと戻った。



「銀級に昇級したらまた来るぞ」



「おう、来なくていい! 来るならもう少し間を開けてくれ。

俺も一人を楽しみたいんだ」



「分かった。 考えておこう」











「あら、ミコト様。 本日はどの様な依頼を?」



「銀級への昇級試験を受けたい」



「まあ、遂にですね。 少々お待ち下さい」



グランドワイズのギルドの受付でミコトは担当のリサラへ告げる。


すると、それを聞いていた後方のハンター達が「いやっほ~! 遂にミコトさんが受けるぜぇ!」と騒ぎ出した。



「ミコトさん、頑張って下さいね」



「シャナか、ようやくだ。 頑張るよ」



既にグランドワイズのギルドではミコトが一番のハンターだ。


所謂看板ハンター。


故に周囲のハンター達は喜び、当然俺達も負けないっと士気を高める者も居る。


それだけ今となってはミコトの存在が非常に大きいのだ。



「ミコトさん、ようやく受けるのね?」



「はい、エレンさん。 申請をお願いします」



ギルドマスターであるエレンが二階から姿を見せ、ミコトを労う。


そして、銀級試験昇級挑戦証を発行すると、それをミコトに手渡した。



「実際に試験を行なうのは恐らく二日後ね。

それまでに準備しておいてちょうだい」



「あの、試験ってどんな内容なのだ?」



「実際に試験内容を決めるのは国王陛下よ。

だから何とも言えないけど、ダンジョンの攻略だったり、難易度の高い依頼の達成だったりね。

まあ、今は時間的に早いからこれから申請すれば今日中に内容は分かると思う。

夜にまた来てくれる?」



「分かりました」



そしてエレンは直接王城へと向かった。






「久しいなエレン。 元気でやってるか?」



「はい、陛下におかれましても――「よいよい」――」



「そう畏まらんでくれ。 知っているだろ? 堅苦しいのは苦手なんだ」



「はあ、ですが陛下。 謁見の時くらいはちゃんとして下さいね?」



「分かっておるよ。 で、今日は何だ?」



謁見の間にはいつも通り、宰相や騎士団長、今はライナやトールの姿もある。



「これを」



エレンが銀級昇級挑戦証を手渡す。



「おお、遂にこの国にも銀級のハンターが生まれるかもしれんのか!」



「ええ、ミコトさんよ」



「何!? ミコト殿か!」



「えっ、ミコトが銀級になるのですか?」



ライナやこの場には居ないがセリアもミコトとは既に親しい。


また、王であるグロールも何度か顔を合わせている。



「贔屓は駄目ですからね?」



「分かっておる。 では、早速試験内容を決めよう。

グロッグは何かあるか?」



「試験ですか……銀級であればキマイラの討伐やヒュドラ、バジリスクなどはどうでしょう?

最近、ヒュドラやバジリスクなどは被害が出ている村も多いです」



「なるほど。 昇級とは言ってもやはり人助けにならなければ意味がないからな」



「はい。 実際にミコト殿はワイバーンを単独で倒してますし、その辺の魔物であればちょうどいいかと」



「よし、なら全部言って貰おう。 キマイラ、ヒュドラ、バジリスクの討伐。

期間は一週間くらいか?」



「ちょっと陛下? いくら何でも三体で一週間は短すぎます!」



流石に焦ったエレンが口を出す。


実際に住処まで向かうのに数日かかる事もあるのだ。そう考えればせめて一ヶ月が妥当だろう。



「そうか、すまぬ。 ならばキマイラにするとしよう。

元は黒級のチームで討伐する魔物であるからな。単独であれば十分な試験内容になるだろう」



「では、そのように書類を作製しておきます」



「うむ。 結果を楽しみにしてるぞ」



こうしてミコトの銀級昇級試験内容は〝キマイラ〟の討伐と決定した。

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