にゃんこ三姉妹の華麗なる冒険記
葉柚
第1話
あたしマーニャ。
ピチッピチッの生後3ヶ月の猫なの。
人間の年齢に換算するとおよそ10歳。
可愛い可愛い幼女なの。
「マーニャ………遊ぼうなのー。」
そう言って来たのは私の姉妹であるボーニャ。
おっとりとした黒猫なの。
黒猫って言ってもよぉく見るとうっすらと虎柄になってるんだよ。
あたしと一緒なの。
あたしも虎柄なの。
でもね、ボーニャと違って黒くないのよ。
キジ色なの。
人間はあたしみたいな毛並みをキジシロっていってるのよ。
口元からお腹にかけて真っ白なんだ。それに、足の先も白いの。
まるで靴下でもはいているみたいなんだよ。
「マーニャ、ボーニャ暇なのー。一緒に遊ぶのー。」
そう言ってやってきたのは、もう一匹のあたしの姉妹のクーニャ。
クーニャも、ボーニャと同じ毛並みをしてるの。
あたしだけ仲間外れの色なの。
でも、クーニャもボーニャもあたしと三つ子の姉妹なの。
「クーニャもボーニャも遊ぶのー。」
「なにするのー?」
「虫取りするのー?」
今日は何をして遊ぼうかな。
いつもは虫を捕まえて遊んだり、三匹で追いかけっこをしながら遊んでいるんだ。
でも、毎日同じ遊びはそろそろ飽きてきたの。
「マユとマリアが言ってたの聞いたの。ダンジョンっていうのがあるんだって。それでね、ダンジョンにはお宝っていうのがあるんだって。」
ボーニャが教えてくれた。
マユとマリアっていうのは人間の女の子なの。
マユっていう女の子・・・?あれ?おばさんだっけ?
うん。おばさんだ。
だって、もう30歳って言ってたもの。
マユはあたしの飼い主なの。
あ、飼い主って言ってもお世話をしてもらっているんじゃないのよ。
あたしがマユをお世話してあげているんだkら。あたし偉いの。うん。
マリアはマユのお友だち。
マユもマリアもあたしたちの大事な家族なの。
「ダンジョンってなぁに?」
クーニャがボーニャに聞いた。
「わかんないのー。でも、お宝っていう響きがいいよね。楽しそうだよね。」
「そうだねー。美味しいミルクもあるかな?」
「わかんないのー。でも、行ってみる?」
クーニャはミルクが大好きなの。
いっつもミルクミルクって言っているの。それに、あたしたちのミルクまで気づくと飲んでるんだよ。
自分の分だけじゃ足りないみたい。
「行くのー。」
「行こうなのー。」
ダンジョンってなんだかよくわからないけど、ワクワクする響きを持っている言葉なの。
だから、あたしたちはダンジョンに行ってみることにしたの。
ダンジョンにはきっと面白いことが待っていると信じて。
あたしたちは何も持たずに近くの山にあるというダンジョンに向かって競いあうようにダッシュした。
あたしたちはこれでも瞬間的に時速50キロほどを出すことができる。
でも、あくまでも瞬間的に。
持続力はないの。
「クーニャ・・・マーニャ・・・待ってなのぉ・・・。」
案の定、一番体力のないボーニャが遅れ始めた。
「ボーニャ相変わらずなのー。早くいくのー。」
クーニャはそう言ってボーニャを待つために立ち止まる。
あたしも、ボーニャを待つために立ち止まった。
「ボーニャだいじょうぶ?」
てとてとてと。
ボーニャはふらふらになりながらもこちらにやってくる。
あたしは、ボーニャが来るまで立ち止まって毛繕いをはじめた。
だって、走ったから毛並みがちょっと崩れちゃったの。
隣をちらりとみると、クーニャも腰を下ろして毛繕いをしている。
やっぱり毛並み大事だよね。
「マーニャも・・・クーニャも・・・走るのはやいの・・・。」
やっとボーニャが追い付いてきた。その呼吸は乱れている。
「ダンジョンまではあとちょっとなの。」
「・・・少し休ませてなのぉ。」
とてとてとやってきたボーニャはその場にこてっと横になった。
どうやら、疲れてしまったようだ。
「しょうがないの。少し休むの。」
「ボーニャ、体力つけなきゃだめだよ。」
あたしたちは森に向かう小道で一休みすることにした。
小道のそばには休むのにちょうどいい草むらがあった。
なんていう草かはわからないけれども、この草はとっても良い匂いがするの。
それに、柔らかくてふわふわsいていて横になるにはとっっても気持ちのいいクッションになる。
あたしたちはそれぞれ、自分の好きな場所に体を横たえた。
もちろんあたしはこの草の上。
クーニャもボーニャもやっぱりこの草がいいみたい。
一緒にごろんと草の上に寝転がった。
お日様はきらきらと輝いているし、ポカポカとした陽気は眠気を誘う。
それに、あたしたちまだ10歳だし、猫だから気持ちのいい場所でゆっくり眠るのが大好きなの。
気づけばあたしたちは森の小道で眠り込んでしまっていた。
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