第二八七食 旭日真昼と一人ぼっち
★
日本の
「うー、寒っ……!? もう今日、バイクやめて歩いて行こうかな……」
うたたねハイツの駐輪場からミラーが真っ白に
「歩いて行って、授業に
「……間に合いませんね」
「あははっ。お兄さんったら、いつもギリギリまでコーヒー飲んでますもんねえ。もっと時間に余裕持って動いた方がいいですよ?」
「い、いいんだよ、別に遅刻するわけじゃないし」
優等生らしいその言葉にむすっと唇を結び、青年がヘルメットを頭に
「真昼は来週の頭から学校だっけ?」
「あ、はい。月曜日からです」
「ちゃんと宿題とか終わらせとくんだぞ? 冬休み最終日にまとめてやろうとすると絶対泣きを見るからな?」
「え? 去年のうちにもう終わらせましたよ? 早く終わらせた方が、冬休みを思う存分
「流石かよ。ほんとえらいなあ、真昼は」
「俺が高校生の頃とは大違いだ」と言いながら、夕が手袋越しの手でわしゃわしゃと少女の頭を
「も、もう、お兄さんっ! 子ども扱いしないでくださいようぇへっへえへへへっ」
「そんな満面の笑みで言われましても。それじゃ、もう行くな?」
「あっ……は、はい……」
乗せられていた夕の手が離れていった途端、
「いってらっしゃーい……はあ、行っちゃったあ……」
「……お兄さん、早く帰ってこないかなあ……」
今出ていったばかりの
台所を抜けて部屋へ入り、着ていった厚手のコートを脱ぎ捨て――ようとしたところで思い
「(お兄さん……お兄さん……お兄さん……)」
ベッドの
「(だ、ダメダメ、寂しいからって暗くなってちゃ、せっかくの冬休みが台無しだよ。もっと楽しいこととか、嬉しいことを考えなくっちゃ。えーっと……あ、そういえばさっき、お兄さんが頭を撫でてくれたよねっ!)」
普段夕の方からスキンシップをとることはほとんどないため、地味に貴重な体験である。そっと彼が撫でてくれた部分に
「(えへへ、なんか恋人同士になったみたいっ! いや恋人同士だけどっ! もしかして私たちって今、すっごくラブラブカップルさんだったりするのかもっ!? えへ、うへへへへっ……!)」
込み上げてくる充実感に、真昼は手近にあった枕をぎゅうっと抱き締めてごろごろとベッドの上を
「はあぁ……お兄さん、早く帰ってこないかなあ……」
瞳を切なげに
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