第二五一食 うたたねハイツと忘年会②
「――そうそう、ボウルに入れた
「はいっ!」
「
「おー! あ、ちゃんと野菜入れてから着火しろよー?」
「はは、分かってるってー。私これでも居酒屋バイトなんだからさー……ってあれ? なんかこのカセットコンロ、上手く火がつかないな……夕ー、ちょっとこっち手伝ってー!」
「おにーさーん、私そろそろお腹ぺこぺこで死にそーう。お菓子開けて食べてもいーいー?」
「
「ぎゃあっ!? お、お兄さんごめんなさいっ、肉団子を丸めてたら一つ落としちゃいましたあっ!?」
「大忙しかよ」
部屋から次々に飛んでくる騒がしい呼び声に、台所で
というわけで、こんな年末にご近所トラブルで
「青葉さん。そのコンロ、ボンベがきちんとセットされてませんよ。ちょっと貸してもらえますか、私がやります」
「え、ほんと? 悪いね、ひよりちゃん」
「いえ。それと雪穂、紙コップなら私が家から持ってきてるから、
「いや準備良すぎでしょ。あんがとね、じゃあ使わせてもらおっと」
「アキ、もうすぐご飯なんだからお菓子は後にしなよ。口寂しいならジュースでも飲むとか……ほら、さっき買ってきた
「あははー、ひよりんってば関西のおばちゃんみたーい」
「誰が関西のおばちゃんよ」
「(す、すげえテキパキ動いとる……)」
三馬鹿の世話をまとめてこなすひよりの姿を見て驚く夕。一切無駄のない動きを見せる彼女の横顔からは、常日頃から苦労人ポジションとして頭痛に悩まされている者特有の気配が
そしてそんな頼もしい少女は、部屋の入り口で思わず立ち尽くす青年に気付くと微笑を浮かべながら言った。
「家森さんは
「え……あ、ああ。ありがとう、
「ううぅ……床に落としちゃった肉団子、こんなに美味しそうに出来たのに勿体なさすぎます……よし、ここは三秒ルールを適用して――」
「うん、ばっちいからやめような? そもそももう三〇秒は
その後、お亡くなりになった肉団子の一つと涙のお別れを済ませた真昼と肉団子作りを再開し、JK組が追加で買ってきた野菜の仕込みを終え――午後七時前。
ローテーブルを囲んで座った六人の目の前には、グツグツと食欲をそそる音と匂いを沸き立たせる鍋が
「よーっしっ! 食器とお箸は行き渡ったかなー?」
「「「はーいっ!」」」
「それからお酒――は私だけか。えーっと、ジュースもちゃんと行き渡ってるかなー?」
「「「はーいっ!」」」
「好き嫌いなく、全部食べられるかなー?」
「「「はーいっ!」」」
「よろしい! それじゃあ皆、てーをーあーわーせーてーくーだーさいっ!」
「「「あーわーせーまーしーたっ!」」」
「……なんですか、小学校の給食みたいなノリ」
「さ、さあ……」
ひよりと夕がついていけずに小声を
「いーたーだーきーますっ!」
「「「いーたーだーきーますっ!」」」
「「……い、いただきます」」
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