第一八九食 家森夕と大人な友人
★
「だっはーっ!? もう無理、もう一文字たりとも読んでられない! どこが
「
法学部に所属している学生にとっては基本中の基本とも言える作業に
「お前なあ……別に恩に着せるつもりはないけど、俺がせっかくの
「やぁん、
「本当にキモい」
イケメン女子の似合っていないにもほどがある
そんな俺の思考を読んだわけでもなかろうが、青葉は冷や汗を流しながら「ま、まあまあっ!」と喫茶店のメニュー表を差し出してくる。
「ほ、ほら、ちょっと休憩にしようよ! 好きなもの注文していいよ、もちろんキミの
「『もちろん私の
「もちろん私の奢りでございます、ハイッ!」
テーブル上のノートパソコンを
というわけで遠慮なくランチプレートとカフェ・マキアート、ついでにデザート用のフルーツパフェを注文した俺に、青葉が「この人
「う、うう……今月はただでさえお財布が薄いのにぃ……」
「はあ? お前実家暮らしのくせに、なんでそんな金欠になるんだよ?」
「だ、だって、食欲の秋だから飲み会いっぱい開いてるし……」
「自業自得じゃねえかよ」
ついでに言えば、食欲の秋だろうが夏バテの夏だろうが、
「それに――
「!」
さらっと出てきたとある眼鏡女子高生の名前――しかも知らない間に呼び捨て――に、激しく
「そ、そういや真昼が気にしてたぞ。『雪穂ちゃんと青葉さんはうまくいってるんですか?』って」
「え、真昼ちゃんが? ……あ、そういえば
「ああ、なんでも
「聞いた聞いた。ふふ、本人も
「〝惚気〟っていう自覚がある辺りが余計に悪質だな……」
「そうだねえ。私個人としては嬉しいんだけどね」
テーブルに両肘をつき、組んだ手の甲に
「……お前、最初は
「ええ~? 心外だなあ、別に『イヤ』とは思ってなかったよ? ただ好意のきっかけがきっかけだったし、もちろん女の子同士っていうこともあって断ろうとはしたけどさ」
「……それを嫌がってるって言うんじゃないのか?」
「言わないよ~。じゃあ逆に聞くけど、夕は真昼ちゃんが『イヤ』だから、あの子の告白を断ったって言うのかい?」
「うっ……」
しまった、
「そういうことだよ。ま、そのうち夕にも分かる日が来るさ。その様子だと、真昼ちゃんも結構頑張ってるみたいだしね」
上書き保存をしているくせに「ぎゃあああああっ!?」と
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