第一九〇食 旭日真昼と〝彼〟の話①
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普段よく耳にする〝◯◯の秋〟――〝食欲の秋〟や〝読書の秋〟などの言葉も、秋が他の季節と比較して過ごしやすい季節だから、というのが始まりらしいぞ、と隣人の青年が言っていたことを思い出す。他にも〝天高く馬
「
「そりゃそうでしょー……ライブ楽しみにしてたのに、まさか二曲だけ歌ってハイおしまい、なんてさー」
「し、しょうがないよ。あくまで大学祭のゲストなんだし……それにほら、今日のメインはどちらかと言えばお笑い芸人さんだったみたいだし」
「分かってるけどー……でも納得いかなーいっ!」
珍しく子どもっぽい
ちなみに大学祭は三日間にかけて行われているが、土・日曜日に加えて月曜日の今日が創立記念日となっているため、真昼たち高等部生でも全日程に参加することが可能だ。といっても真昼は初日に青年とあちこち回って
「……ごめんねー、まひるん。せっかくのお休みに来てもらったのに、こんなあっさり終わっちゃってさー」
「ううん、元々予定があったわけでもないから気にしないで。それに私もすっごく楽しかったよ!」
「うわーん、まひるんってばちょーいい子ー! やっぱひよりんとか
「そ、それ、ひよりちゃんたちの前では言わない方がいいかも……」
感情のない瞳で
先日も「色んな意味で発展途上の雪穂ですら恋人作ってる時代なのにー、ひよりんは相変わらずこれっぽっちも
「まひるんは、あれからおにーさんとどこまでいったのー?」
「ぶふぅっ!?」
前触れもなく爆弾を放り込んできたゆるふわ少女に、真昼は動揺のあまり吹き出してしまった。もし飲み物を口に含んでいたら、前方に勢いよく噴射しているところである。
「
「すすすするわけないでしょっ!? わ、私とお兄さんをなんだと思ってるの!?」
「あはは、だよね。まひるにそんな急展開とかまったく期待してないよ、私も」
「急にドライになるのやめてっ!」
「でもさー、なにかしら変化くらいはあったんじゃないのー? それとも、ホントのホントになんにもなかったのー? やっぱりヘタレまひるんのままだったのー?」
「うっ……」
知らぬ
「(あ、でも風邪引いた時は手を握っても平然としてたお兄さんが、こないだはほんのちょっとだけ照れてたかも……)」
実際は風邪の時にも青年は相当動揺させられていたのだが、自身が鈍感ではないと信じてやまない少女はその事実に気付いていなかった。手のひらをにぎにぎと動かしながら温かい青年の手のひらを思い出していると、自然と幸せな感情が
「え、えへへへへ……」
「怖っ。ど、どしたのまひるん、急にニタニタ笑い出したりしてー……」
「ハッ。ご、ごめん、亜紀ちゃん」
少し気持ち悪い笑い方になってしまったせいか
「――まひるんって、ちょっと雪穂に似てるとこあるよねー……」
「そ、それどういう意味かなっ!?」
恋人のイケメン女子大生のこととなると暴走しがちな眼鏡少女に
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