第一八五食 旭日真昼と初デート③
〝デート〟という単語を聞いて
どこかのゆるふわ系少女に聞かせれば「
しかし今真昼の目の前に広がっている光景は、緑豊かな公園でもなければ冬の夜空の下でもなく――
「ハアアアアアッ!? ちょっ、おまっ……!? だ、誰だよその可愛い子!? ま、まさか彼女かっ!?」
「
「見損なったぞ
「この最低野郎ッ! 人間の
「だからこの子はそんなんじゃないって言ってんだろ! 人の話も聞かずに好き放題言うな!?
――ようやく想いを告げた片想い相手が、血の涙を流す男たちの手で揉みくちゃにされていく
現れた男たちの正体はなんと――いや、言うまでもなく――夕の友人たちである。真昼が「どうやったら自然とお兄さんと手を繋げるか」を
「なんでだよっ!?
「そうだそうだ! なに普通に超可愛い子と歩いてやがる!? ……ハッ!? ま、まさか夕、お前……モテない男と同類みたいな顔しといて、裏ではずっと
「ひ、ひどい……!
「やかましいわ! 俺は女の子と歩いてるだけで罪になるのかよ!?」
「「「「なるっ!!」」」」
「声揃えて断言してんじゃねえ!?」
どうやら真昼のことを夕の彼女だと勘違いしているらしい男たちは、青年の身体をポカポカと無駄に可愛らしい仕草で殴り続けている。もちろん彼らも本気で夕のことが憎いわけではなく、一種のお約束、じゃれあいの一環として絡んできているだけなのだろうが……「私のせいでお兄さんがっ!?」という意識に
海での
「わ、私っ――お兄さんとデートしてるところなので、邪魔しないでもらえませんかっ!?」
「え……」
青年の腕に抱きつきながらそう言った少女に、いかにも目が点になっていそうな呟きを落としたのは誰だったか。男たちの内の一人か、あるいはデート相手本人だったかもしれない。
しかしどちらにせよ、年下の可愛い女の子の緊張に震える唇から放たれたその一言は、どうやらモテない男たちには
「うっく……やっぱりデートなんじゃねえかよお……!」
「ちくしょう、ちくしょう……!」
「女の子に
「俺なんてもう母ちゃんからも庇ってもらえないのに……!」
シクシクと顔を
「ちくしょうっ、この借りはいつか絶対返してやるからな!? 覚えてやがれえっ!?」
「捨て
いかにも
「よ、良かった……無事、お兄さんを
「お、おう……俺も一応男だから、その言い方にはものすごく引っ掛かるところがあるんだけど……でもありがとう真昼、助かったよ」
気心の知れた友人たちとはいえ、半分本気で困っていたらしい夕は苦笑混じりに礼を告げてきた。対する真昼は「お兄さんにお礼を言われたっ!」と、腹の底から
「え、えっと……それでだな、真昼さん?」
「はい?」
「も、もう離してくれていいんだぞ?」
「……ハッ!?」
気まずそうに言ってくる夕に、真昼は今の自らの状況に視線を落とし――やがてたちまち
「ごご、ごめんなさいっ!?」
青年を助けようと必死になるあまり、抱きついたことを自覚していなかった真昼は慌てて身体を引き離した。そして即座に「しまったあっ!?」と自らの行動を後悔する。
「(う、
当初の目標である手繋ぎよりもさらに高次に位置する
結局真昼は、
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