My god

Kaki🥛

01 個展を見てきた帰り道

「今日はわざわざ来てくれてありがとうな」


けやきは僕にそう言った。

こいつは基本的にテンションが高くてノリで生きてる!って感じのやつだけど、いつだって優しい、僕の心友だ。


「当たり前だろ。にしても本当にBIGになったもんだな〜。僕の誇りだよ、けやきは。」


「やめろよ、照れるだろ??

いやぁでも、もっともっと大きくなるのが俺の夢だから。もっともっと頑張ってやんよ。」



そんな心友が画家になったと聞いた時はそれなりに驚いたが、更に個展を開くことになったと聞いた時はもっと驚いた。


「それで?どうよ?俺のコンテンポラリーアートは!」


「いや最高だよ、僕の好みをついてた。たまたまなんて言わせないぞ??」


「ばか、やめろよ。恥ずかしいだろうがっ!」


そう、けやきは人のことを考えながらのアートを得意にする、画家の中でも特にユーモアなタイプ。

特定の誰かを思い、その誰かへ向けたメッセージを絵に込める。

だから基本的に絵は1日で書き上げるし、二度と同じものは書けないんだとよ。

そのユーモア絵画で男に全く興味のなかった加藤を婚約者としてゲットしたんだからすごいよ、前衛的アプローチすぎる。


「にしても加藤に対する絵はピカイチでしたよね、はい。いやー愛ってすごいなぁ。」


「おめぇ、絶対にばかにしてるだろ!」


「してないよ。ただ、愛ってそう簡単に人と人とを結びつけてはくれないなーって。」


「なんだ?お前もついに初恋か?」


「うるさいなぁ。」


正直図星ではある。

会社勤めだった頃、俺が初めて外部取材したフリーランス作家。僕もフリーになったので、そこから縁あって、今ある出版物を作ってるんだけど...。何度も会って取材するうちに、気になって仕方がなくなってしまった。



「けーちゃーーーん!!!」


けやきのことをけーちゃんと呼ぶやつはもうあいつしかいない。


「ほら見ろ、迎えが来たぞ、けやき。」


「史帆じゃーーん!!迎えに来てくれたのか??」


「うん!明日個展の最終日だから、しっかり休まないとね!!ほら、帰ろ?」


「ってことだから帰るわ!今日はまじありがとう。また連絡する!!」


「おう、またな。」



加藤の登場はびっくりするほど呆気なかった。

僕はけやきと加藤の乗る車を静かに見送った。


さぁて、僕も帰るとしよう。



「日向、さん??」

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