プロローグ 吸血鬼狩り
真夜中に二つの足音が町中に響く。前方を歩く男、後方を歩く少女。前方を歩く男が止まると後方の少女も止まる。男はつけてくる少女に近寄ると、少女は無表情で男の目を見つめる。訝しみながら男は少女の腕を掴んだ。
「君、もしかして吸血鬼信仰派の人間ですか?じゃないと、こんな夜中に私をつけたりはしませんよね?正直に話してくれるなら、血を吸うだけで許してあげますよ」
しかし、少女は何も喋らない。吸血鬼は違和感を感じながら、少女の思考を読むため、視線を合わせる。すると吸血鬼は、殺気の様な少女の強い眼差しに驚き、後ずさりした。だが、高々人間風情に
「何か喋ってくれませんか?それとも、辱しめの方がお好みですか?」
吸血鬼は少女のシャツのボタンを一つ外す。そして、二つ目のボタンに手をかけた。少女は不快な表情で、吸血鬼の手を払いのける。少女は口から吸血鬼に向かって何かを吹きかけた。吸血鬼は驚き、吹きかけられたモノに気付く。吸血鬼は焼けるような痛みで絶叫する、これは聖水だ。
「焼ける、焼ける。い、痛い。痛い。このアマ。殺す、殺す」
少女は喋らないのではなく、喋れなかったのだ。少女は衣服を整え、サイホルスターから銃を抜き、吸血鬼の頭に銃を突き付けた。
「吸血鬼風情が私に触るな、汚れる。ザマーみろ、これで終わり
吸血鬼の頭は吹き飛んだ。しかし、吸血鬼はまだ生きていた。少女は吸血鬼の心臓を弾丸で撃ち抜いた。心臓を撃ち抜かれた吸血鬼は、体が崩れ落ちて灰になり舞い散った。
少女は吸血鬼の灰が舞う中、悲しげに笑った。しばらく放心した後、少女はポケットからスマホを取り出して電話をかけた。
「ナノフ、終わったよ。吸血鬼殺したよ。でも何故か、手が震えるんだ。何でだろ?嬉しい筈なのに?ホントに吸血鬼殺したんだよ。体が震えるし、寒いのかな?急いで帰るね」
「とりあえず、初任務成功おめでとう。温かい食事を用意してるよ。今日はゆっくり休むと良い。吸血鬼とは言え、殺してしまったのだから。綺麗事でごまかすつもりはないけど、君が吸血鬼を殺すことで、助かった命があると思えば、それで良いと思うよ」
「ごめん、吐き気がするから。用意してもらって悪いけど、帰ってすぐに寝るね。でもありがとう、少し気が楽になった」
少女はポケットにスマホを仕舞うと、フラフラと歩き始めた。しかし、少女の視線は迷いなく何かを捉えていた。進むことしか許されず、必ず殺すという意思で少女は立ち向かう。これは少女と吸血鬼との戦いの物語。
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