転生したら、序盤で投げ出した乙女ゲームの世界でした
兼乃木
第1話
私の趣味はコミック、アニメ、ゲームといったもの全般の、よくいるヲタ女(日本人)である。
反動のようにドラマや映画はあまり観なかったので、芸能人の顔は覚えなかった。有名なハリウッドスターだろうが区別がつかないレベルだ。
あ、そんなにいないほうのヲタ女かも?
だから大好きなコミック原作が実写化されたら、ファンに対する冒涜としか思えない人種だった。
いや、コスプレイヤーさんに文句を付ける気はないけどね?楽しんでいる人にケチなんかつけませんよ?
私の前に出て来て感想を求められない限りは。見たくない人もいるのです。
ゆえに前世を思い出して、今生の自分の置かれた状況を理解した時に、こう思った。
「実写化じゃなくてアニメ化にしてくれよ!」───と。
アニメ化された世界に転生してたらしてたで、きっと困っただろうけど。
私が転生した先は『悠久の時を超えても』という乙女ゲームの世界のようだ。
人気絵師と人気声優を起用した、かなり期待度の高いソフトだった。私も事前情報が解禁されるたびに喜んで待ったものである。
クソゲーだったけど。
プロローグと序盤の出会いイベントだけプレイして放り出したけど。
作画は良かった。
フルボイスで豪華だった。
読み進めるだけのノベルズゲームだったし、システム面は不満を感じなかった。
肝心のシナリオが酷かっただけで。
序盤で「やってられっかー!」と投げ出したから、もしかしたら後半で盛り上がったのかもしれない。だけどネット上での評価は九割クソゲーで、だよねーと納得したところで存在を忘れることにした。
そんな訳で内容はほぼ知らないままだ。
今わかっているのは、いわゆる悪役令嬢のマリアンヌの双子の妹ディアンヌが私で、ファンタジア王国というテキトーなネーミングの国の、オルタリス公爵家の娘であるということ。
攻略対象であるディアンヌの義兄レイモンドが、同じ屋敷に養子として来たばかりだということ。
これ、アレですよね?
悪役令嬢に転生して破滅フラグを回避しようゼっていう、流行りのアレ。
ゲームの内容知らんから詰んだよね。
乙女ゲームなら他に数十本はプレイしたのに、なんでよりによってコレなのか。未クリアで放っていた報いだろうか。
積みゲーなんて他にもたくさんあったはずなのになぁ……
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