第21話 暁の蝉


表現者なんてのは


いってみりゃあ  

蝉みたいなもんよ


俺たちは

土に埋もれながら

いつか

羽根を震わせ歌うんだと信じている

クレイジーな片端者さ



土を愛し 土に生きる皆々様よ

真っ当な方々よ


そんなに

責めないでおくれ

閉じ込めようとしないでおくれ


体がさ

俺の歌でパンパンなんだよ

もう

背中が破けちまいそうなんだ




今日、夜半

俺は土を出る



外へ征くんだ

この でっかいでっかい樹を

登ってゆくんだ


月光に濡れながら

静かに ひそやかに

俺の羽根は姿を現すだろう

刀のように輝くだろう



hallelujah!



抜き身の羽根を打ち震わして

俺は歌う


全開 全力 無制限

響き渡る波動


これが 俺の歌!

俺の魂! 俺の命!


震えろ! 世界

届け 届け 届け 届け

地平まで・・・!




七日で死んだってかまわないぜ





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る