平和な世界で武器屋開いてみました!
憂季
第1話武器は売れない!!!
「憂鬱だ…」
ここ何日かこの言葉しか発していない気もする。
そのレベルで憂鬱な僕はジン・ロックハート
父親のふざけた一言で借金まみれのこの武器屋を継ぐことになってしまった。
「とりあえずは今ある武器をどうにか処分しないことには店を畳むこともできないんだよなあ…はあ…」
どうしたらいいかも分からずに何日も途方に暮れていた。
空の色もここ数日僕の気持ちと同じようにどんよりと沈み雨を降らせていた。
次の日…
「晴れたなあ…三日ぶりかな?今日こそはやるしかないな」
晴れた空に背中を押された僕は意を決して国の借金相談センターに向かった。
待合室には街の見慣れた顔が何人かいた、そのどれもが防具屋、魔道書屋、宿屋など勇者が魔王を倒して廃業寸前になった人たちだった。
「おや…君はロックハートさんのところの…」
「ジンです。おじさん久しぶりです」
今話しかけてくれた小太りのおじさんがこの町の武器、防具、アイテムなどをほかの街から輸入して店に売りつけてくれるおじさんマイネおじさんだ。
この人ももう輸入、輸出をする必要がなくなって破産するのかな…
「君のところも借金まみれなのかい?」ヒソヒソ
「はい…父が残していった借金もあり…もう破産しかみちが残されていないかとおもいまして…」ひそひそ
マイネおじさんは気を使って小さな声で話してくれた。
少し違和感を感じる。
ここに来ている人は俯き人のことにはまるで興味を持っていない、その中でマイネおじさんは僕に気がついてくれた。
さらには話しかけてくれて気遣いまでできている。
この人は本当にこの場に借金があったり追い詰められてこの場に来ているのかという疑念が僕の中ではっきりと生まれた。
そしてマイネおじさんの手のひらを見てはっきりと疑念が確信に変わった。
その手にはやけどの跡とマメが出来ていた。
それが希望への道なのか分からないが僕はマイネおじさんと話がしたくなった。
「マイネおじさんちょっと外に出ませんか?話したいことがあって…」
「奇遇だねジンくん私も君とゆっくり話したくなったよ昔のよしみでね」
借金相談センターを出て少し街道を歩く。
何から話せばいいか考えていなかった。
いきなりいくら借金があるかを話すか、マイネおじさんの手のマメのことを聞くのか…
ここの選択肢を間違えればきっとその先に生まれる希望の光も見えなくなりそうな予感がした。
ここはひとつ、軽く探りを入れよう。
「マイネおじさん今は何をしてるの?」
「私かい?私は今は輸入や輸出は時代遅れになってしまってね…少しモノづくりの方をやってみようかと思ってね」
上手く怪しまれずに聞き出せたんじゃないだろうか…
ここは自分が子どもということを利用して無垢な感じで掘り下げるか…
いや、違う…ビジネスパートナーとしてみてもらうべく駆け引きをしなくてはならない…
イチかバチか…いってみるか…
「マイネおじさん僕の家に来てみませんか?もしかしたらマイネおじさんにとっていいものがあるかもしれません」
「いい物?もしかして君は私があの借金相談センターに居た意図を理解しているのかい?」
「意図を理解しているかどうかはわかりませんでも、腐ってもロックハート雑貨店の跡取りです、希望の光をミスミス見逃すような育ち方はしてませんよ」
「さすがあのロックハートの子供だよ…勘が鋭いそして運がいい今日が私にとっての締切の日だったのさ…今日めぼしい人がいなかったら私もこの街でパートナーを探すのは諦めるところだったよ、たまたま今日が晴れの日だったそれだけだ」
どうやら僕は本当に運が良かったらしい。
ほんの少しでも希望の光を繋ぐことができたのだから…
僕の家についた。
そして山のように抱えた武器の在庫をマイネおじさんに見せた。
「こんな山のような武器…こんな武器は売れんよ…残念だけど…」
僕は落胆した。
希望の山は一瞬にして絶望の山になった。
その時マイネおじさんは口を開いた。
「武器としてはな…」
「武器としては?」
「ロックハートさん最後に偽物の武器掴まされてるんだよ…この鉄の剣も銀の槍も鉄じゃなく白銀っていう柔らかい宝飾に使われる鉄もどきなんだよ…」
「じゃあ…本物のゴミ…?」
「武器としては本物のゴミじゃよ…でもこれだけの白銀は今から集めるなら何十年もかかる…これで何か作ることが出来れば…人生は逆転する!」
「本当ですか??」
「武器屋のプライドを捨てられればじゃがな…」
「マイネおじさん…元々ウチはロックハート雑貨店です…その時代に合わせた最高の商品を置くそれがロックハート雑貨店のプライドです!」
「よく言った明日から忙しくなるぞジンくん!」
こうして僕とマイネおじさんの0からのロックハート雑貨店の復興が始まった。
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