『小さなお話し』 その39

やましん(テンパー)

『火炎だいこん』

『これは、夢による、フィクションです。』



 我が家の庭で、ちょっとだけ、野菜などを作っておりました。


 『いやあ、このだいこんさんは、よく出来ましたなあ。じつに、美しく、でかいなあ。』


 たしか、この種は、お祭りの出店で買ったように、思います。


 だいこんさんを眺めておりますと、突然、首から巨大なたまが繋がったネックレスをした、おばあさまがやってきました。


 『それは、地獄の名産品であるぞ。火炎だいこんである。魔物よけになる。この世にふたつとはないものだ。大切になさいませ。』


 『はあー? かえんだいこ?』


 ぼくは、一瞬だいこんさんを見ました。


 それから、『はあー、そりゃ何ですかあ〰️?』


 と、みれば、おばあさまは、もう、いません。


 『あらまあ〰️〰️〰️? ふしぎー。』


 はとさぶろが横にやって来て、さかんに、首をひねっておりました。



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 そんなことがありますと、どうも、だいこんさんを、引っこ抜く気にもなりません。


 そうこうしている、あるばん、古代の翼竜さんが、人間を食べて回る映画を見ておりましたら、はや、丑三つ時。


 寝なければならねが、簡単には寝られないのです。


 ベートーヴェン先生を聞いておりますうち、いつしか音楽は終わりになり、あたりは、静寂に包まれております。


 みれば、あやしい、真っ白な衣装に身を包んだ、怪異な人影が、ぼくを取り囲んでおります。


 『おごわー‼️なにものぞ⁉️』


 と、叫ぼうにも、体がうごきません。


 かれらは、ぼくのからだを、白い布のようなもので、巻き上げようとしました。


 『危ない〰️〰️〰️!』  


 空いていた、二階のまどから、あらわれたのは、はとさぶろであります。


 小さなはとさぶろが、ぼくをぶら下げて、庭に運びだしました。


 『やましんさん、だいこん!』


 はとさぶろがさけびます。


 怪しの影たちは、ぼくを追って、ふわりと二階から、飛びおりてきたのです。


 ぼくは、裸足の足をふんばって、大きく育っただいこんさんを、やっとこさ、引っこ抜きました。


 いきおい余って、どっと、ひっくり返りになりましたが、たまたま、だいこんさんの先端部が、怪しの影を向きました。


 すると、まさしく、光線砲のごとくに、ぶわーーっと、はげしい炎の光を、発射したのです!


 怪しい存在は、きれいにいなくなりました。


 『ぶあわ〰️〰️〰️〰️⁉️』


 ぼくは、唖然として、ぶっ倒れました。


 はとさぶろも、目を回していました。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 朝がきて、庭で倒れているのを発見され、ぼくは、そのまはま、入院となりました。


 だいこんさんは、まだ、残っております。


 はとさぶろは、屋根の上に、留まっておりました。



…………………………………………


               おしまい




 


 

 



 

 

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『小さなお話し』 その39 やましん(テンパー) @yamashin-2

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