【ガチャでN(ノーマル)しか出ない呪い】が実は最強チートだった!? 99%即死効果の糞ガチャ異世界を生き延びる!!!
ポンデ林 順三郎
Chapter001:異世界転移
001. 身の程を知らぬ下等生物めが
「はぁ?
神だか何だか知らねーがな、これは拉致監禁っつーんだよ!
俺達を元の世界に帰せ!!」
この、デスゲームモノの第1話で運営に突っ掛かり、見せしめに殺されるヤンチャなモブみたいな台詞を吐いたのが──30分前の僕だ。
だって仕方ないじゃないか。
通学途中に乗ってた市バスが、横から突っ込んできた高速バスに衝突されてガス爆発。と同時に突然白い光に飲み込まれて、目が覚めたらギリシャ系の神殿みたいな真っ白い部屋。
バスに乗り合わせた学生、労働者、登山客が目を覚ました所に現れる、女神を名乗る知らない人。
それが、「貴方達には別の世界へ転移して、魔王を倒し、世界を救ってもらいます」と来たもんだ。
僕だって、まずは周囲の反応を待ったよ?
でも、誰も動かない。こういう時に突っ掛かりそうなサラリーマンのおじさん、お局っぽいおばさん、不良っぽい高校生、ギャルっぽい高校生、誰一人として動かない。素直か。
ずっと見たかったんだ。デスゲームで運営に楯突いて、頭を爆破されるテンプレモブ。
一生に一度のチャンスなんだ。なのに、誰も動かない。
なら、僕がやるしかないじゃないか。
「はぁ?
神だか何だか知らねーがな、これは拉致監禁っつーんだよ!
俺達を元の世界に帰せ!!」
周囲の、そういうテンプレに理解のありそうな数人が、ある者は顔を引き攣らせ、別の者は感心したように口を開け、また別の者は瞳を輝かせ、こちらを振り向いた。
言った後に気付いたね。
僕の頭が爆破されたら、それを僕が見ることはできないのでは? ってね。
ただまぁ幸か不幸か、僕の頭は爆破されずに済んだんだ。
「神に対して何と無礼な……身の程を知らぬ下等生物めが。いいでしょう、貴方には、【ガチャで
女神の人がそういうと、生肉を踏み潰すような音と共に、その指先から毒々しい色のガスみたいなのが吹き出て、僕の鼻から口から飛び込んできた。絶対こいつ邪神でしょ。
咄嗟に咳き込んだけど、ガスが完全に僕の中に定着したのが、感覚でわかってしまった。
は? 何でガチャ? と、周囲の老若男女もざわめき出す。
これガチャ系の異世界転移?
で、
……あいつ詰んだぞ。
クスクス……馬鹿な奴。
この手の話に理解ありそうな面々から、そんな囁きが聞こえてきた。
僕もそう思うけど、まずは女神様の話を聞こうよ。
僕が言うのもナンだから口には出さないけど。
その後の女神様からの説明は、大体僕や彼らの予想した通りの内容で、ガチャで引いたスキルやアイテムを使って魔王を倒しなさい、的な話だった。
ガチャ自体は向こうの世界の基本機能らしいんだけど、僕達は女神様の加護により、1日1回の無料ガチャ(午前5時にリセット)が引けるらしい。
「あの、他に特典のようなものは……?」
僕の惨状を見た後にも関わらず、勇気ある陰キャ少年が女神様に質問した。
「本来ならば、神のガチャは有償。拳大の宝玉300個を神殿に寄進した者だけが回せる、神の恵みなのです。それを毎日ただで回せるというのに、これ以上を望むと言うのですか?」
「ひっ……! じゅ、十分です!!」
毎日無料で宝石300個貰える、と言われたら確かに大サービスな気もしてくるな。
「それでは人間共よ。世界を救うために邁進するのです」
そんなお言葉に合わせて、辺りが光に包まれ、浮遊感が全身を包んだ。
かくして、僕達は異世界の地へと飛ばされたのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます