第2話俺、ハイエルフ。しかも女体化。
母ちゃん大変です。
俺、女になりました。てか耳尖ってます。銀髪サラサラです。ハイエルフですって。エルフの上位種です。
オッパイはエルフという種族の特徴をぶっちぎって巨乳です。里の女エルフが驚愕しています。エルフは大体が貧乳さんです。
中には殺意がこもった目でこっちを見る者もいます。
尻もぱっつんぱっつんです。てか服もなんかエルフっぽいファンタジーな服です。素肌がバリバリ出てます。生っ白いです。ああああ。ちん○ない。ああああ。夢じゃ夢じゃ夢でござるぅぅぅ。
「お前ユートなのか?お前ハイエルフだったのか?てかなんで女になった?」
「知らんっ‼︎ なんでエルフに?てかなんで女になってんの?」
ーうふふ。かわいー。似合ってるー
「世界樹様⁈」
長老が慌てて世界樹の祠を調べる。深いため息をつく。
「どういうわけか…儀式が滞りなく終わっとる。延命の儀式は終了し、世界樹様はとても満足なさっておるわ。」
「おおおおおお‼︎‼︎‼︎」
エルフの里に大歓声が上がる。
呆然としている俺にわかりやすくプリーズ!
要するにハイエルフになった俺が祈って元々の儀式か無事完遂されたらしい。はあああ⁈
なんで男の俺を女エルフにするんだよ⁈
何してくれてんだよ世界樹‼︎
ーくすくす。仕方ないよ必要だったんだから。どうもありがとう。まあ、後は頑張って!ー
こちらの焦りも無視して エルフ民は誰もが大騒ぎで喜び合った。そしてその流れで宴会を始めた。
老若男女大人も子供もお祭り騒ぎだ。
気がつくと森で俺に気円斬を投げつけようとしていたあの幼女が俺の脚にしがみついていた。
「おねーさま…」
すりすりしてくる。いやいやいやいや。
妹スキーだけど何それ君⁈
「お主、その手にある物はなんじゃ?」
長老に言われて右手を見ると淡い緑色の宝石が握られていた。
「…エルフ石」
「は?」
なんですかそのストレートな名前?
「世界樹様が我らに稀に与えて下さる栄誉ある石だ。久々に見たぞ。お主よほど世界樹様に気に入られたのじゃな。」
長老は上機嫌で酒らしき飲み物をぐびぐびやっている。
「エルフ石⁈ 見せて見せてー」
里の若い娘さん達がわらわら寄り集まって石を俺の手から取る。ほおエルフ石大人気だな。エルフにも珍しいのか。
長老が俺を見て叫ぶ。
「ユ、ユートお主‼︎また人間に戻っとるぞ‼︎」
お?おお⁈
思わず股間をまさぐる。ある。おおおお。
へばりついていた幼女エルフの目が釣り上がり飛び退いて両手に気円斬を発生させる。
「人間、ぶっ殺す‼︎」
落ち着け幼女よ。
よくわからんが戻った。よかったよ母ちゃん。童貞のまま女体になってどうなるかと…
だが 女エルフたちからエルフ石が俺の手元に戻ってきた途端またハイエルフに変身した!
これかぁ!この石が原因かぁ!幼女がまたぼすんと抱き着いて来る。お前なぁ!
「お主変わった体質しとるのう。まあエルフである間はわしらはお主を歓迎するぞ」ぐびぐび。
もう話も通じそうもなかったので諦めて自分も宴会に参加する。あ、未成年なんでアルコールなしで。あ、うまーい。知らない食材ぽいけどうまーい。え、さっきの魔猪?魔法でその日の分だけ熟成させるの?
残りは次元凍結?わーファンタジー。ぐびぐび。果実水美味しい。
悪夢を忘れるかのように宴会に没頭しやがて意識が遠のいた…
目覚めるとベッドの中だった。素朴な(スプリングも何もないので固いとも言う)感じだが草の匂いがする。ああやっぱり自分の家じゃない。夢じゃない。異世界か…
顔を洗って鏡を覗く。…俺の目だ。うん俺だ。顔自体は俺の顔。でも胸がある。耳が尖ってる。銀色の髪。…本当にエルフになってたよ母ちゃん。ちなみにエルフ石はペンダントにはめ込まれて首にかかっていた。宴会が終わる頃長老が加工を手配してくれた。石を預けたらまた元の男の姿に戻ったので幼女が噛み付いてきたな。あ、腹に歯型が付いてる。
エルフになったからとは言えエルフの能力などさっぱりわからない。
長老にエルフの話を詳しく聞いてみる。エルフは森に愛され水と風の精霊に愛され長寿を誇る種族。概ねイメージ通りだ。
ただハイエルフはそれを超越して四大精霊に愛される上位種らしい。ふうん。
風魔法や水魔法、細かな生活魔法を使いこなす。
ハイエルフはさらに火魔法・土魔法・時空魔法などなど多彩な魔法が得意…らしい。
昔は木の実やキノコしか食してなかったが冒険者文化が融合していった結果肉も魚も食うようになったそうだ。そうすると料理文化も進化する。今では結構美味い食事が取れるようになったと幼女が胸を張る。ない胸を。
そもそも 魔法って何ぞや?と聞いてみる。
ためしに魔力込めてみ?と長老が言うのでやりかたがわからないと言うと長老が俺の両手を持って何か気のようなものを流し込む。気のようだが明らかに気ではない。あ、何これキモい。これを血液のように全身に巡らすイメージ。これが魔力の循環らしい。あ、回る回る。ほかほかしてくる。
続いて魔法使ってみ?と長老がいう。魔法は現象をイメージするだけで良いらしい。ガスコンロの火を想像して集中。手のひらから青いガスの火が灯る。不思議だが手のひらは熱くない。どんなファンタジー力だ。おお、俺魔法が使えるんだ。感動。
長老が驚いているのでなぜか聞くと火を出す奴は大抵赤い火で青い火は初めて見たという。
なるほど魔法はイメージとはそういう事か。薪や木が燃える炎しか見た事のない人にはガスバーナーの火はイメージ出来ない。イメージ出来ない物は魔法で具現化できない訳だ。
続いて火水風土の基本をひとつひとつ試していく。本当だ出来た。水魔法で水の玉を浮かべてみる。霧を発生させ、水の玉を氷に変えて風魔法で飛ばす。風魔法で幼女も作ってた気円斬ぽいアレを作って飛ばす。土魔法で大地の金属分子やセラミック成分などを意識しながら軽くて硬い金属化合物を構築する。セラミックソードの出来上がり。
長老が横で口をあんぐりとさせている。どうしたね婆さん?
ソードを自分の固有のボックスにしまう。
魔力を循環させて気づいたのだがこの世界の人の身体の中には魔力に応じてサイズが変わる収納箱【アイテムボックス】が生まれる。俺の中にも【アイテムボックス】が生まれていた。
何これ!超便利!
ビュンビュン。ビビューン。森の中を風魔法で飛ぶように移動する。エルフは風で跳べるのだ。実に気持ちいー! ん?12キロほど二時の方向に魔熊の気配。おお叫んでる叫んでる。エルフイヤーは地獄耳。空気弓を構えてサクッと打ち出す。エルフアローは超音…矢が雷と風を巻いてレールガンの如く飛び魔熊の頭を吹き飛ばす。解体は後で幼女に頼もう。幼女はこの姿である限り俺に優しい。色々頼みを聞いてくれるし森の常識も教えてくれる。 まるで可愛い妹だ。 幸せ。
俺は魚捌くくらいしかやったことないから解体はちょっとまだ無理。魔熊を【アイテムボックス】にしまう。
人間(男)に戻っても魔法もこのボックスも使用出来たので個人のチートではなくこの世界の住人特有の神様のサービスかも知れない。
お、十時の方向7キロに魔猪が2、3匹。親子かな、倒すのはやめとこう。む何か4時の方向から急速接近。ワイバーンか。魔猪の親子を狙ってんのか。俺はアレをイメージする。必殺パワーサンダーブレ…エルフブレイク‼︎上空からの稲妻がワイバーンを貫く。
という様に俺はハイエルフの能力を確認しながら異世界を満喫していた。
異世界の料理・食材にも興味があった。
周りの森からは様々な木の実、キノコが取れ、幼女がどれが役に立ってどれが毒だとか教えてくれた。
この里では小麦・大麦・大豆が取れ、パンも焼いている。味噌や醤油に近い物も作ってるしイースト菌や麹菌もあるようだ。
風呂もある。大抵のシーズンは水浴びだそうだが、寒くなると生活魔法で湯を沸かし風呂に張る。
トイレはさすがにウォシュレットはないようだが水洗トイレはある。浄化槽にあたるブロックを個々に土魔法で処理しているらしい。紙はない。森には特殊なトイレ用の葉っぱが存在し、みんなで葉っぱを摘んで来るのが住民の日課だ。
こうして日々、エルフの森の生活に馴染んでいったのだが。
「で、婆さん、本当に元の世界に戻る方法ないの?」
「すまんがわしらにはどうにもならん。世界樹様に聞いてみておくれ。」
世界樹様の祠に向かう。巫女をやった俺はフリーパスだという。
世界樹様、聞こえる?
ーくすくす。聞こえるよ。ー
あの…元の世界に帰りたいのだけど?
ーごめんね。あたしの召喚術は必要な者を呼び寄せるだけでどこから引き寄せたかはわからないんだー
世界樹様でも無理って…絶望的じゃないか…
ーでもね、この世には【転移門】を持つやつがいるよ。そいつに頼めばいいんじゃないかな?ー
⁈だ、誰です?
ー魔王。【異界の魔王】さ。ー
世界樹様曰くー
このエルフの里の外には【魔王国】があってその当主は【異界の魔王】と呼ばれ【転移門】を自由自在に操るという。
その魔王なら戻せるかもだって。
魔王かー。魔王がいる世界かー。
一介のエルフが魔王に会わせろと行って会えるものなの?えー誰も【魔王国】に行ったことないの?無理じゃん…
エルフの誰かが言う。
「冒険者に依頼したら?」
冒険者?おおう異世界定番のアレか。いるんだやっぱり。この里にいるの?え、あれは魔王国のシステムだから外の国に行かないといないって?
そうかぁ。
俺は覚悟を決めてこの里を出る事を決めた。
とにかく母ちゃんのいる世界に戻るのが目的だから。
暮らしやすいこの里だがいつまでもここにいるわけにはいかない。
長老は幾ばくかの貨幣と山で採れた宝石、それと岩塩、きのこ等食料をくれた。儀式の御礼だと言う。幼女はすがりついて泣きじゃくる。俺も別れが辛い。幼女にはすっかり世話になったからなぁ。すりすり。怪しくないぞ見た目は幼女を愛でる美少女だからな。
里のみんなも口々にお礼を述べ里特産の食料や幾ばくかの鉱石・宝石をくれた。ありがとう。みんなありがとう。
俺は皆に別れを告げて里から旅立った。
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