籠の外7

「コウジ!!」


「くっ・・・平気だ。いつもの頭痛だから心配するなシュガー」


しょぼんと両耳を下げて丸くなった頭を撫でてやるとたちまちいつものようにピンと耳が立った。

俺にはこんな風に可愛がれる妹がいるのだろうか・・・今なら大分大人になっているだろう。大学生くらいだろうか?何故かこんな所にいる俺だが、探してくれる人が一人でもいるといいな。


「コウジ・・・あいつ何処にも居ないけど・・・いいのか?」


なっ!?しまった!男の事をすっかり忘れていた!

辺りを見回しても通行人だらけで、何処にも男の姿が見当たらない。置いていかれてしまった・・・


「仕方ない、探しがてら歩くか・・・」


行き先も何も教えて貰ってないのに動き回るのは賢明ではない事は分かるが、男は仕切りに時間のことを気にしていたし、急いでいるなら探した方がいいだろう。


橋を渡り終わると石造りの大きな通りに出た。沢山の人が忙しなく歩いている。服装は着物の様な和装と、昔の絵画に描かれる様な沢山フリルをあしらったドレス姿に日傘をさす人もいる。


馴染みがあるようで、無い変な街だな・・・

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