籠の外2

驚く俺を見てシュガーは少しポカンとした後、急に腹を抱えて大笑いを始めた。


「アーハハハッー!なーに言ってるんだよ!コウジ!!ハハハッ!また頭でも打ったのか?ハァーハァー・・・、それともプレイヤージョークってやつか!?」


「いやジョークじゃなくて、シュガー俺の事忘れてただろ?一体いつ思い出したんだよ!頭打ったのはシュガーの方じゃないのか?」


「なにをー!?そんな事無いぞ!現にここに来た時だって・・・あれ?オイラどうやってここに来たんだっけ?というかここ・・・何処?」


威勢よく切り出したシュガーだったが、記憶が思い出せず頭を抱えている。


「俺達は鳥籠から出るために、グランドツリーを登って天龍から逃げようと何とか走って、穴に飛び込んだんだ。俺達、外に出られたのか・・・」


俺の話を聞いてシュガーは大きな目を更に見開いて髭をピンと立てた。


「は!?グランドツリーに天龍に穴!?そんな訳無いだろ!だってオイラ達はファームに」


そこまで言うとシュガーは辺りを見渡して固まった。俺も辺りを見渡すと広い建物の中のようだ。美しく彫刻された白い大きな柱と落ち着いたクリーム色の壁紙、アンティークの高そうな家具の上には細かく装飾された花瓶が置かれ、中には派手な花々が立てられている。見上げると、広さはそれ程無い部屋だが天井がやけに高い。丸い小さな窓が一つ天井近くに造られているが入る光は余り期待できないようで、中央に吊るされた豪華なシャンデリアの灯りが部屋中を照らしている。


見たことの無い部屋だ・・・どうやらシュガーもそうらしい、辺りを注意深く観察している。

頭も冴えてきたので、家具の中から何か手掛かりを掴めないかと毛足の長い真っ赤なカーペットから立ち上がった瞬間、この部屋についたたった一つの扉が音を立てた。咄嗟にシュガーと共に部屋の奥へ飛び退き戦闘態勢を取る。金色の丸いドアノブが回り、白地に金で飾り付けられた扉がゆっくりとこちら側に押し開かれた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る