籠の外


『大丈夫、きっと上手くいくよ。これで貴方の旅も終わり。』


こ・・・じ、こぅ・・・、こぅ・・・じ、こうじ、コウジ!!


遠くから声が聞こえる。何だよ、五月蝿いな・・・もう疲れたんだ。眠いんだ。ほっといてくれよ・・・眠い・・・俺を、呼んでるのか?


「ハッ!!ゲホゲホ、ゴホ!」


乱れる呼吸を整えると目の前にぼんやりと白い影が動いているのが見える。


「コウジ!良かった、生きてたんだな!!」


徐々にボヤけた靄が晴れていくと、涙目でこちらを見下ろすシュガーの姿が視界に映る。


「シュガー?」


そう呟いた瞬間、コウジーーー!!と叫びながらシュガーは俺の体を勢いよく揺さぶり始めた。俺は意識が戻ったばかりの脳を揺さぶられ、たちまち込み上げた吐き気を両手で塞いで何とか押しとどめた。


「おお!?すまねー!大丈夫か?!気持ち悪いか!?」


さっきまでピンッと立っていたシュガーの耳が嘘のようにシュンと下に垂れ下がり、心配そうに覗き込むので、俺は片手で大丈夫とジェスチャーしながら上体を起こした。


「本当に平気か?痛いとことか・・・」


シュガーが背中をさすってくれたお陰で大分気分が良くなってきた。体中を目で確認しつつ、関節や手足の指が動く事を確かめる。


「あぁ、大丈夫そうだ。ありがとなシュガー・・・って、シュガー俺の事分かるのか!?」

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