第83話

「はぁー今日は楽しかった!」

「それなー、久しぶりに育人と会えたし」

「僕も二人と遊べて楽しかった」


 二人がこそこそ話をし終わりまた三人でぶらぶらしながら適当なお店に入ったりもしていたら、いつの間にか日は暮れかけて居た。


「そんじゃ、俺はここでお別れかな」

 

 と育人がにやにやした変な顔でそんなことを言う。


 そして、志保の耳元でぼそぼそと話した後志保が顔を真っ赤にして「いいからさっさとどっかに行って」


 と怒りながら追い返し、「はいはい」と言いながらまたねと言って家に帰っていく。


「言われなくてもわかってる」

「ん?どうしたの?」

「な、なんでもない」


 と少し頬を赤くしてうつむいてしまう。


 そして、数秒たち「すぅ……はぁ……」と深呼吸をして意を決した顔をして、そっと僕の手に志保の手を重ねてきた。


「あ、あの……ね。ちょっと寒くなってきたよね」

「今、まだ六月に行かないくらいなんだけれど」

「……ちょっと寒くなってきたよね」

「え、あ、う、うん。そうだね」


 志保にぎゅっと手を握られて、そう言われればそうなんだろうとなぜかそう思ってしまうほど真剣な顔をしている志保に応えるように、ぎゅっと手を握り返す。


「ッ……。じゃ、じゃあちょっといこっか」

「え、あ、う、うん」


 志保につられてゆっくりと歩き出す。どこに行くかもわからないまま。


 なんで志保に手を握られたかも分からないし、多分教えてくれないだろう。


 だけれど、すごい志保の手は安心する。


 凛さんと同じような温かさがある。


「……今、他の女の人の事考えた?」

「え、い、あ、うん」

「……ぶぅ。もー」


 と言ってそっぽを向いてしまう。


「あの……さ、結人君ってさ、誰か好きな人いる?」

「え、あ、うーん」


 好きな人かぁ……。


 志保は好きな人がいるけれど、いまいち僕にはピンとこない。


「………って、志保。僕と手をつないでいるけれどいいの?」

「……はぁー。結人君は本当に。………馬鹿なんだね」

「え!?なんで、急に罵倒?」

「もういいもん、結人君のばーか」


 と言って握っていた手を放し、腕を抱きしめる。


「それで、好きな人ととかいるの…?」

「うーん。………やっぱり、明音ちゃんと凛さんかなぁ。二人とも可愛いし。僕の大事な家族だからね。あと、志保のことも大事かなぁ」

「えっ…。それはどういう意味で?」

「志保は僕の大事な友達だからね。なんかあったら絶対助けるから」

「………もぅ。ホントに。結人君のばーか。いつか本当に刺されちゃうからね?」

「何に!?」


 蚊に刺されてしまうのだろうか。


「はぁ。……こっちも大変だけれど、あっちも大変そう」


 ぼそぼそ何かを呟いているけれど、なんて言っているかは聞こえない。


「あ、着いたよ」


 っと、そうこうしているうちについたようだ。


 そこは、昔よく遊んでいた公園だった。



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 久しぶりです。kanikuiです。


 新作出します。「僕とヤンデレたちの生活」です。


 義理の姉妹も更新再開です。 


 これからもよろしくお願いします。

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