第一章ーー宵話

第3話子供たちが見ている


都城みやこのじょうは、そのボールを蹴り返す


「いて、」

5歳になる、娘が転ぶ、しかしすぐにたつとボールを蹴り返す

しかし、そのボールはよろよろとどこかに、転がっていく


ーー小さい子供というのは、まんじゅう二つに、手足が生えたようなものだ

都城はそう思う

(--こうしてみると、「普通の娘」なんだけどな)

そう思いつつ、彼の友人がなぜか弾いている、ウクレレから流れる陽気なリズムの曲を背景に子供と遊ぶ


「普通ではない」「普通」の子、都城はあえて「特異な点」に目を向けない


ーー人と違う、異常でもどうたってことない

特別な力があろうが、なかろうがどうたってことない

特別な存在であろうが、なかろうがどうたってことない

ーー今はただ、ハワイアンな曲を聴きながら、ボールを転がすだけ


ーー都城は、とりあえず夕飯のメニューを考えることにした

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