息が白くなるころ
学校の帰り道、他の生徒との分岐も少なくなってきた場所のコンビニへ行く。
この時期に食べる肉まんは、なんでこんなにも美味しいのだろうか。
肉まんの皮のほのかな甘みを堪能しながら、公園のベンチで空を見上げる。
イヤフォンから流れる曲は、澄んだ青空に散らばる星々みたいに。
異世界の言語で紡がれる歌詞は、意味を考えずに心を洗ってくれるみたい。
冷たい風が、僕を家に帰るよう急かしてくる。
冬休みがおとずれ、僕は人気の少ない深夜にシャベルを片手に家を出た。
目的地に着いて、丁寧に土を掘り進めていく。
木の根を傷つけないようにゆっくりと…。
そうして、一人分の穴が掘れると衣服を全部脱いで穴の中に入った。
真冬の夜に裸でいるのはさすがに寒い。
土の中だから風は吹かないけど、それでもやっぱり冷える。
空を見上げると、不敵な笑みを浮かべていた月が雲を纏っていた。
口元だと思っていたのは、閉じた瞼のラインだったのかもしれない。
雲というハンカチでは受け止めきれなかった雫が僕の額を濡らしていく。
僕の事を哀れに思ったのか、穴の中をどんどんと水が満たしていく。
地上付近の土が崩れ、僕に降り注いだ。
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