彼女が欲しい俺の願いをかなえるために天使が降りてきたけど、果たして俺はリア充になることは可能なのだろうか？

第1話 《Marrige Organize Tempt Enterprise-Phone取り扱い説明書、《Wish Star》の項目より一部抜粋》

　〈《Wish Star》について〉

・このツールを取り扱うには天界政府の許可が必要。

・レベル3以下のバグに使用する場合、天界より派遣された天使自身が使用すること。

・レベル4案件の場合は派遣されたエージェントではなく本人が使用すること。

　〈《Wish Star》使用方法〉

・トップ画面より《Wish Star》のアイコンを選び起動する。

・バグの被験者とその恋人となる人物の本名を正確に入力し、送信ボタンを押す。

・レベル4の被験者の場合、バグの影響が強いため、お互いの名前を書くだけでは十分な効果が得られない。よって、送信前にコメント欄に恋人関係に至るまでのスケジュールを書くこと。

・スケジュールは合計八時間ぶん、一時間ごとに区分された予定を箇条書きで書くこと。

　〈《Wish Star》を使用する上での注意事項〉

・名前を書く場合、その対象となる人物の顔が頭に入っていないと効果は得られない。つまり同姓同名の別人には効果は現れない。

・スケジュールを立てる際は何月何日の何時とまで時刻を書く。日付が書かれていない場合は書いた当日に設定される。

・物理的に不可能なスケジュールを記載した場合、そのスケジュールは無効となる。

・何らかの事情により恋人関係を白紙の状態に戻したいときは、結んだときと同じ手順を踏み、お互いの名前を送信すること、もしくは《Wish Star》がインストールされている《Marrige Organize Tempt Enterprise-Phone》本体を破壊すること。

・この機能により恋人同士になれる機会は一回。一度チャンスを逃してしまった場合、同じ人物に対してこの機能を用いることはできない。（別の人物なら可能）

・恋人関係を白紙に戻した場合、被験者に選ばれた相手はその間の記憶を失う。ただし、その間に関わった人間の記憶はなくならない。

・一度関係を白紙に戻した相手とは、二度とこのアプリケーションソフトの効果によって恋人関係を結ぶことはできない。

　以上の事を踏まえ、このツールを使用すること。