猫を助けて異世界転生しました
式 裕貴
第1話ダンプは魔物?
永井博人57歳、定年間近の無趣味な枯れたオッサンだった。
今日、会社をクビになった。リストラだそうで、その筆頭だそうだ。
居るのか、いないのかわからないから、居なくても良いだろうだって。
情け無い思いで、トボトボ歩いていたら、道路の向こう側に猫がいた。その猫に目が釘付けになってしまった。
たしかに猫は好きだ。昔飼っていたこともある。
ある意味一目惚れかもしれない。そんな事もあるのか?猫に。と、思っていた。なぜなら、道路の向こうに青い毛の猫が居た。サバ猫ではなくて青猫が正しいだろう。
10m以上離れているのに、目の前にいるような錯覚を覚える。
サファイアかアクアマリンの様な鮮やかな青色だ。
毛の色に合っている(と、僕は思う)瞳は金色で真っ直ぐこちらを見つめている。
(かわいい猫だ。あんなネコを飼ってみたいな。)
と思っていたら、急にこちらに向かって走って来るじゃないか。
しかし!飛び出した猫にはダンプカーが迫っていた。
あっ!と、思った瞬間俺は、飛び出していた。ほんとに、なんであんな事をしたんだろう?やっぱり一目惚れ?
俺は、ネコを掴むと、ラグビーのパスみたいに、前の空き地に放り投げた。
その後、体がバラバラになった様な衝撃と空を飛ぶ様な感覚、そこで記憶が途切れた。
気がつくと、草むらに寝ていた。
誰かが運んでくれたのか? だが、痛みは無い、
空が青くて綺麗だなあ。などと、呑気な事を考えていたら、死神が現れた。
「誰が死神じゃ」喋ったよ死神!
「だから違うと言っておろうが!」杖で頭を殴られた。痛くないけど。
最近は、鎌じゃないんだ。杖でクビチョンパなんて、まるで野球みたいだ。
「いい加減、そこから離れろ。」また殴られた
「俺死んだの?」
「あの世界のお前は死んだ。この世界のお前は生きておる。」
大丈夫?おばあちゃん。ご飯はさっき食べたでしょ。
きつ〜い一発いただきました。痛くないけど
「お前の生きてきた世界とこの世界は別じゃ。」
ラノベとか言う若者の小説か。異世界転生とか言うらしいな
もー、脳みそは、ちゃんと冷蔵庫に入れといてよね!すぐ腐るんだから!
「諦めて、理解したらどうだ?」現実逃避失敗!
「体で、動くところはあるか?」
そう言えば、目しか動かないぞ!
「どうなってる?目しか動かない。」
さっきから喋っていたのは、テレパシーみたいだ。口も動いてない。
「今のお前は、土で作った人型に魂が入っておる状態だ。体の中を血が巡るイメージをしてみろ。」
まかせろ!妄想は得意だ!エネルギー充填120%‼︎
眩い光に包まれた後、某ロボットアニメの様に上半身を起こすことが出来た。
リアル世代だ悪いか!胸から排気されなかったけどな。残念だ
体を見回してみると、土じゃない!人間だ!よかった〜
喜んだのも束の間、大事な物がない!波動砲が!信楽のたぬきが!
「魔人と一緒だから、性別は無いぞ。」えーーーーーー!
「正確に言うとな、大地を含む、自然の様々な物で出来ておる。魔界では、人族の様な交わりはない。故に、お前の言う様なものは存在せん。」
「じゃあ、どうやって繁殖するのさ?」
「好きおうた2人のどちらかが子を宿す。大体は、女型が宿すのう。」
「男型同士だったら?」
「宿った方が女型になる。その方が子供のために良い。ちなみに、男女で能力差はないぞ。」
へー
「えーい、話が進まん!次に移るぞ。」
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