至日に来たるもの

アーカムのローマ人

プロローグ:永遠の我が子

【オープニング】

合唱:永遠の我が子よ、お前の旅路に無数の運命あれ

   

○インド、タミル・ナードゥー州

二人の若い女性、マハーデーヴィーとサラ・エルウッドが雷雨の中モーターボートに乗っている。黒髪を風になびかせているマハーデーヴィーは肌の色が濃く、はっきりした顔立ちのタミル人(南インドの民族の一つ)、行く手を鋭く見つめているサラは赤毛で色が白く、曲線的な体つきのアメリカ人。


合唱:その足で自由に歩いて行け


○国際空港

サラとマハーデーヴィーがマサチューセッツ行きの飛行機に搭乗する。


合唱:繁栄あれ、幸福あれ、栄光あれ


○結婚式場

ウエストが露出する丈のレヘンガ・チョーリ(短いブラウスと長いスカート、ショールから成るインドの民族衣装)を着たマハーデーヴィーとウエディングドレス姿のサラが指輪を交換する。マハーデーヴィーは明らかに妊娠している。


合唱:親の膝元を離れて世界を飛び回る子よ


○マハーデーヴィーとサラの自宅

サラが赤ん坊の写真をアルバムにしている。名前の欄には、タミル文字とアルファベットで『ナイラ(Nyra)』と記されている。


合唱:永遠の我が子よ

その燃える目で星の彼方を見つめ、その唇で微笑み、その足で自由に歩き出せ


○同じ家のリビング

サラはダイニングテーブルの上のPCに向かっている。隣では小学校低学年のナイラが学校の宿題をしている。白いワンピースを着て黒髪をお下げにした、マハーデーヴィーによく似た少女である。ドアが開き、マハーデーヴィーが入ってくる。ナイラは立ち上がり、母親に抱きつく。


合唱:繁栄あれ、幸福あれ、栄光あれ

愉悦あれ!

永遠の我が子よ……


○ナイラの高校の卒業式

サリーを着たマハーデーヴィーとドレス姿のサラが並んで立っている。卒業式用のローブと帽子を身につけたナイラが彼女達に駆け寄るが、後ろ姿で顔は見えない。

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