ワンダーランド

Dandelion

 理由

どうしてって、意味もないことに、理由なんて必要があるだろうか。


知らせたいから書いたこともある。

教えてたいから書いたこともある。

幸せになってもらいたいから書いたこともある。


知らせることに徹せれば、知識と検証を要した。


教えることに徹せれば、教える責任を要した。


幸せになってもらうことに徹せれば、幸せとは何かの議論を要した。




造作もないことをしたと思う。



知識と検証による研究も、培われた指導力も、幸福を味わうことの体験も、人にどう伝播するかなんて、その人次第であった。



何かを訴えることも、何かを見守ることも、無益な奉仕にも、疲れてしまったとき、私に残されたものは、書くという現象だけであった。


書くという現象は、読み手があって、成り立つ。読み手を意識して書く、ことは、以上の理由をもって、私は、一切を放棄する。



読み手は私の眼を通して、読み手が味わうことができない、視える世界を味わうといいと思う。

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