リコレクション

幻中ゆうき

風夏編

幕間

「助けてっ! 誰か助けてっ⁉︎」

 誰かの悲痛な声が聞こえる。

「あなたはどこにいるの?」

 呼びかけてみるが返事はない。答えることができないくらい切迫しているのだろうか。

「今すぐ助けに行かないとっ!」

「待って--」

 後ろで男の子が叫ぶ声がした。

「あれ?」

 急に意識が朦朧としてきた。どこか深いところに落ちていくような気がする。そして、とても寒いような、とても暑いような不思議な感覚がした。

「あなたは誰?」

 真っ黒な世界で誰かが私に手を伸ばしていた。

「た、すけて--」

 再び誰かの悲痛な声が聞こえてくる。

「あなたは誰なの?」

 あれ、私は誰だっけ?

「私は、夢乃風夏ゆめの ふうか、だよね?」

 そう、私は夢乃風夏だ。それは間違いない。

「あれ、さっきの人は?」

 真っ暗な世界には私一人しかいなかった。他の人の気配はもうない。

「ここはどこ? 私はどうしてここにいるの?」

『風夏よ。この世界でたくさんの人と接し、たくさんの人を助けよ。さすれば、真実の道が開くだろう』

「あなたは、誰ですか?」

 やはり、返事はなかった。

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