第4話 実は似ている二人?

「そういえば、お願いしたいんだけど」

「お、何だ?」

「食事中にベラベラ話しかけるのは、やめてくんない?」

「え」

「食べた気がしないの。私、あんたのそういうとこ好きじゃない」


 あー。毎回ラーメン屋とかでオレに会うと嫌そうな顔をするのは、そういうことか。

 ……あ。


「特にラーメンは集中して食べたい」

「はいはーい♪」

「本当に分かってんの?」

「あのさぁ、クルミちゃ~ん?」

「……何よ」

「それ以外はOKってことだよね?」

「はっ?」

「だから~オレのそういうとこ以外は好きってことイダッ!」

「……調子に乗るな」


 奴の体のどこかを、空いている手でギュッとしながら思う。

 どうして毎回、決まったように軽い面を出すのか。

 私も不器用だけど、こいつも違った意味で不器用なのかもしれない。

 心でクスッと笑い、私は手をパッと離した。


「ふー、やっと解放されたし!」

「……実は私たちって、なかなかの似た者同士なのかもね……」

「えっ、どこが?」

「さあね。教えない」

「相変わらずだな~。まあ似ているのは嬉しいけど!」

「……本っ当に、あんたは……」

「お、顔が真っ赤だぞ!」

「うるさいっ!」

「イテ」

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酒とクルミ。 卯野ましろ @unm46

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