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 バッと振り返ると明るいクルクルした髪の、ちょっとチャラそうなお姉さんがこっちを見ていた。

 え、今俺に話しかけた?

「すごく一生懸命に選んでるように見えたんでぇ」

「そ、そうですか…?」

 よく見るとお姉さんはエプロンをつけている。ってことは、ここの店員さん? 

「彼女さん同い年くらいですかぁ?」

「へっ? いや」

 まず彼女じゃないし。

「じゃぁ後輩」

「違う」

「じゃぁ先輩?」

「ち、違いますって」

「えっ、違うんですか」

「違いますよっ」

 俺とアイツは、ただの幼馴染で

「はっ!! だめですよ、浮気相手には! そんなのリップサービスで誰も幸せになりませんっ」

「全然違うっ!!」

 なんでだよ、どこから浮気相手来たんだ。アイツとはそんなんじゃなくって

「ですから、ただの幼馴染です」

「本当にただの? ただの幼馴染?」

「です」

 じと、と疑うような目をしてお姉さんは言う。いったい何があった、お姉さんに。

「あの、何かおススメはありませんか? 歳は俺と同じで、普通の女子なんですけど」

「普通の、女の子、ですか」

「はい」

「ふ~ん、なるほど」

 じぃ、とさっきとは違う視線をお姉さんに浴びせられる。

「ではこんなのはいかがですか?」

 お姉さんがサッと歩き出したのでとりあえずついて行ってみる。変なことを言うお姉さんだけど、ここの店員さんなんだし、俺がテキトーに選ぶよりも何かいいものを勧めてもらえるかも? ホワイトデーのプレゼントなんて、今まで母さん任せだったから、何を選んでいいのか分からないし。

「これとか、おススメですよ」

「え」

「私の一押しなんですけどぉ」

 「はいっ」と紹介されたのはまさか、まさかのっ!

「今は下着をお返しするのも結構ポピュラーなんですよぉ」

 パッッッ‼ 

「なんで後ろ向くんですか、ダメですかこういうのは」

「だから、俺たちはただの幼馴染なんですって‼」

「でもでもぉ、そこから一歩踏み出したいんでしょう?」

「ななななに言ってんですかっそんなこと一言も言ってないじゃないですかっ」

「え~違うんですかぁ?」

「全然全く少しも違いますーっ!!」

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