余命一年の彼女は笑う。
満月凪
プロローグ
プロローグ
いつでも、どんな時でも。笑っていた一人の少女がいた。
彼女は笑った。残り、自分が一年しか生きることができないということを告げられた時。とても、面白そうに。
それからの彼女の口癖は「短い時間しか生きることが叶わないのなら、いっそ笑っていたほうがずっといい」だった。
彼女はいつも、楽しそうに、面白そうに、笑い続けていた。だから、彼らは分からなかった。否、忘れていたのだ。彼女の口癖の意味を。彼女の、運命を。
そうして、彼女がいなくなった時に漸く気づく。「彼女」の存在の大切さを。
けれど、今はまだ、彼女の「存在」を、彼らは理解していない。
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