贖罪
SKY LAND
零 獣
「私達はあなたに
牢屋に閉じ込められた少年に向かって
「………」
その少年はボロボロの白いパーカーを着て毛はボサボサ。酷く傷ついていた。この世界では
「出せよ……」
「罪を認めなさい」
不要に抗う少年。悲しく光を反射しないその青色の瞳は残念なことに暗がりを得ていた。
「何してるんだい?」
檻の外にいる人間が一人増えた。あいつも同じく蔑んだ目をして
「『百人殺した殺人鬼』か…」
『殺したい』。そんな感情が身体の髄を通って身体の至るところの末端に血液の共に流れる。まるで狼のような
「彼、どうしますか?」
「そんなもの、決まっている…死刑だ。」
ウザいウザいウザいウザいウザい!
今すぐにでもこいつを殺したい!
こんな拘束具もこんな檻も全部へし折って殺したい!
そんな殺意からか、気付けば獣のような
「きゃっ!恐ろしい声だわ…こいつ、正気なの?!」
脳裏にウザいという単語が羅列する。それほどまでに殺したい。いつか脳裏に羅列する単語が「殺したい」に変わりそうで仕方ない。
「では、私はそろそろ次の業務があるので」
「うん。」
女性はスタスタと去っていく。檻前に残る少年がニヤリと企み顔を作り出す。
「本当に…残念だ」
その一声が無性に立腹させる。拘束具はガシャガシャと音を鳴らす。俺は目先のこいつを殺したくて、暴れていた。その瞳孔はパッチリと開いていた。パーカーの調節紐が空中を舞う。それはまるで獣。獰猛な獣。
「怖いよ…元はと言えば君が悪い」
「嘘つけ!てめぇが全部やったんだろ!」
まるで狂気。牢屋に閉じ込められた少年には「正気」という言葉は、
「そうだね、全部僕がやった。人殺しも何もかも。」
「ぐぅぅぅぅぅぅぅ…」
「君は利用されただけ。残念なことにね。」
この言い回しがウザったい。マジで殺したい。
「この世界は学力社会。賢い者だけが偉くなって、頭が悪い君みたいな人間は地に這いつくばるだけ。」
ウザったい。適当に世間説きやがって…
「黙れ……」
「君はただ利用されただけ。君がバカだからなんだよ。」
今、心に誓ってもいい。「殺したい。」と。そろそろ、一体何でこんなことになったのか。ウザったいけど話すよ。
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