第7話 ありえねーことさ!


「廃屋だから、あちこちガタが来てるんだよ」

「ここは呪われてるって、あなたが言ったのよ」

 増山は、怯えた声になった。

「呪いなんて存在するはずがない。おばけなんて冗談に決まってる」

 そう言っている内に、シミはどんどん広がっていく。

「シミが壁いっぱいに広がったら、あの世と通じることになりますよ」

 三田村は、どろどろした口調で言った。

「さっさとここを、出て行きましょうよ」

 そのときである。

「うらめしや~」

 薄い壁の向こうから、歌うような声が響き渡った。おれたちは、ひゃあっと飛び上がった。

「幽霊だわ! おばけが出たのよ!」

 増山が、とっぷりと暮れた部屋の中で、言った。さいごのロウソクがふっと消えた。

「わあ」

「わあ」

 おれたちは、転がるようにしてその家を飛び出した。

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