苻丕4  苻丕政権2   

苻丕ふひ政権の構成、第二幕である。


東海とうかい王 苻纂ふさん。太尉。

苻堅ふけん時代には尚書令、魏昌公であった。


阜城ふじょう公 王兗おうえん。平東將軍、平州刺史。

高城こうじょう公 苻定ふてい。征東將軍、冀州牧。

重合じゅうごう公 苻紹ふしょう。鎮東將軍、督冀州諸軍。

高邑こうゆう公 苻謨ふも。征西將軍、幽州牧。

??公 苻亮ふりょう。鎮北大將軍、

       督幽、并二州諸軍事。


苻定、苻紹は信都しんとに駐屯、

苻謨、苻亮は常山じょうざんに駐屯していたが、

慕容垂ぼようすいぎょうを包囲した段階で一度

投降していた。

苻丕の皇帝即位を聞き帰順、

自身の不明を謝罪したという。


このなかで、王兗が博陵はくりょうに布陣、

対慕容垂の前線基地を守った。



一方で、西部の動きである。


左將軍の竇衝とうしょう、秦州刺史の王統おうとう

河州刺史の毛興もうこう、益州刺史の王広おうこう

南秦州刺史の楊璧ようへき、衛將軍の楊定ようてい


姚萇ようちょうと対峙していた彼らは、

苻丕に使者を飛ばし、

共に姚萇と戦ってください、と要請。

つまり苻丕の即位を受け容れる、

と言ってきたのだ。


苻丕は彼らの動きに歓喜。


楊定を驃騎大將軍、雍州牧に。

竇衝を征西大將軍、梁州牧に。

王統を鎮西大將軍に、

毛興を車騎大將軍に、

楊璧を征南大將軍に。

また開府儀同三司、加散騎常侍とした。


王広は安西將軍、益州牧とした。




堅尚書令、魏昌公苻纂自關中來奔,拜太尉,進封東海王。以中山太守王兗為平東將軍、平州刺史、阜城侯,苻定為征東將軍、冀州牧、高城侯,苻紹為鎮東將軍、督冀州諸軍事、重合侯,苻謨為征西將軍、幽州牧、高邑侯,苻亮為鎮北大將軍、督幽、并二州諸軍事,並進爵郡公。定、紹據信都,謨、亮先據常山,慕容垂之圍鄴城也,並降于垂,聞丕稱尊號,遣使謝罪。王兗固守博陵,與垂相持。左將軍竇沖、秦州刺史王統、河州刺史毛興、益州刺史王廣、南秦州刺史楊璧、衛將軍楊定,並據隴右,遣使招丕,請討姚萇。丕大悅,以定為驃騎大將軍、雍州牧,沖為征西大將軍、梁州牧,統鎮西大將軍,興車騎大將軍,璧征南大將軍,並開府儀同三司,加散騎常侍,廣安西將軍,皆進位州牧。


堅の尚書令、魏昌公の苻纂は關中より來奔し、太尉を拜し、東海王に進封せらる。中山太守の王兗を以て平東將軍、平州刺史、阜城侯と為し、苻定を征東將軍、冀州牧、高城侯と為し、苻紹を鎮東將軍、督冀州諸軍事、重合侯と為し、苻謨を征西將軍、幽州牧、高邑侯と為し、苻亮を鎮北大將軍、督幽、并二州諸軍事と為し、並べて郡公に進爵す。定、紹は信都に據し、謨、亮は常山に先據し、慕容垂の鄴城を圍みたるに、並べて垂に降じたれど、丕の尊號を稱せるを聞き、使を遣わせ罪を謝せしむ。王兗は博陵を固守し、垂と相い持す。左將軍の竇沖、秦州刺史の王統、河州刺史の毛興、益州刺史の王廣、南秦州刺史の楊璧、衛將軍の楊定は並べて隴右に據し、使を遣りて丕を招じ、姚萇を討たんと請う。丕は大いに悅び、定を以て驃騎大將軍、雍州牧と為し、沖を征西大將軍、梁州牧と為し、統を鎮西大將軍に、興を車騎大將軍に、璧を征南大將軍にし、並べて開府の儀を三司と同じうし、散騎常侍を加え、廣を安西將軍とし、皆な州牧に進位せしむ。


(晋書115-4_政事)




鄴や晋陽エリア一帯にいた残存勢力に、広い範囲の各将が合流した、という感じですね。一気に人材が揃ってきました(なお)。もと苻丕の周りを固めていたスタッフと比較すると、被ってるのが王永と毛興。これはこの段階で王永が戦死あるいは病死していたと考えるのがいいのかなあ。


旧スタッフにこれだけの新スタッフ(もっとも西部戦線の各将とは直接会えてないでしょうけど)が一気に集まると、両者間の調整は必須になってくると思うんですよね。ないがしろにするわけにもいかんだろうし。


いや、旧鄴都晋陽スタッフに既に官位を大盤振る舞いしちゃったせいで、この二期合流組への官位の振る舞い方むずかしかったろうなあw 苻丕さんお疲れ~~~~ッスwwwww


王氏はこれ、劉裕りゅうゆうに仕えた王睿おうえい王懿おういと同族なのかもしれないですね。つまり太原たいげん王氏。うーん、こうやって考えると宋書における自称太原王氏って表現は、「北地の太原王氏はなかったこと扱いにしたかった」なのかなあ。


とか考えてみたけど、王永って王猛の息子か。ってこたここに太原王氏が現れてくるって考えるのはちょっと無理筋かなあ。しかも次話で激飛ばしてんじゃんちょっと待ってよ。なに? もしかしてどこにも書かれないうちに丞相とかになっちゃってるこれ?

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