水瓶座の女達のやる気啓発旅行
雨宮万奈
第1話 計画
さやか
悶々とした日々が続いている。皆が同じ方向を向くとき、私は反対側を向きたくなる性分らしい。とうとう学生生活も終盤に近付き、皆が次の進路を考え始める。上から下まで皆が同じ格好をし、自分のアピールポイントといった平凡な質問から自分を動物に例えると何かといったいやらしい質問までされる、この国特有の社会に出るための儀式が刻一刻と迫っている。
周りの友人達がその儀式のための準備を着々と進めていく中、取り残されたような気分を味わいながらもまだその一歩を踏み出せずにいる。
親にダメだと言われたことを片っ端からやってきた私には、どうやら骨の髄まで反骨精神が根付いているらしい。もはや自分ではどうすることも出来ない。しかし、こんな変わり者にもやはり人生について考える時期というものが公平にやってくるのだ。こうして物思いにふけっている間にも、世の中の同期達は準備を進めているのだろう。
ブーブー…スマホが鳴る。こんな忙しくなる時期に友人から連絡が来るのは珍しい。
最近スマホに来る連絡といえば、社会に出るための準備段階に関するものばかりで面白くとも何ともない。もしかしたら一緒に会社を見に行こうとかそういったお誘いかもしれない。あるいは準備段階がどこまで進んだかといった何とも言えない確認かもしれない。
恐れを感じながらも、そっとスマホを開く。
>今日、遊べる?☺
>うちは遊べるよ(*´▽`*)
>やったー♪さやちんは?
開いてみると、世の中の動きを完全に無視した会話がなされている。この会話をしている二人がこちら側の人間であることは間違いない。しかも二人は遊ぶ約束を当日の朝にしている。
突然すぎて断りたいところだが、特に今日の予定はない。
>遊べるよ
>やったー!遊ぼ遊ぼ!☺
>わーい!(*´▽`*)どこいこ?
>3人で遊ぶなら、奥澤の方でいいんじゃない?
>お、さすが、さやちん!(*´▽`*)
>じゃあ、そうしよう☺
こんな感じでとんとん拍子に遊ぶ約束がなされたわけだが、よく考えてみればおかしな話である。
三人が同じ日に集まれる確率というのは年齢を重ねていくうちにどんどん低くなっていくものだ。ましてやこの忙しい時期に、しかも当日に約束をすることが可能なのはおそらくこの国でこの三人だけだろう。
奥澤の時計台の前がいつもの待ち合わせ場所。この三人の場合、待ち合わせ時間を設定したところで誰一人待ち合わせ時間に来ない自由人のため、準備が出来次第いつもの場所でというスタイルを取っている。このスタイルを取っていると不思議なものだが、大体同じ時間に吸い寄せられるような形で皆が集まってくるのだ。
時計台に到着して五分程たった時、あやかがやってきた。私が手を振ると、控えめな笑顔で遠慮がちに手を振り返してくれた。
「おはよう、さやちん。もしかして大分待った?」
「おはよう、あやちゃん。ううん、全然。でも、急だったよね。本当に予定なかったの?」
「ないよ。朝、日の出さえ見に行けたら満足。」
「そっかー。今日も日の出行ってきたの?」
「うん。」
「どうだった?」
「今日もきれいだった。」
「そっかー、ほんとに素敵な日課だよね。」
彼女は多芸多才でおっとりとしたタイプ。集団の中では前に立って何かをするというよりも誰かのサポート役に徹している。が、仲を深めてくると意外な一面も見えてくる。自分が納得しなければ動かない、実は頑固なタイプだ。
そして、素敵な、でも少し変わった日課を大切にしているロマンチストな部分もある。あえてその理由を聞かないでいる私に、彼女は今日の日の出がどうだったのかといったことまでこと細かく教えてくれる。その姿はとても可愛らしく、一緒にいればいるほど面白い子だ。
あやかが到着して五分程経った時、かれんが大慌てでやってきた。他の二人を待たせてしまったことに我慢ならなかったらしい。でも、ちゃっかりばっちりとメイクを決めているあたりに彼女らしさを感じる。
名前のように華やかな雰囲気というよりも、おっとりとした上品なお嬢さんといった雰囲気をまとっている。きっと大切に育てられたのだろう。やや世間からずれた行動をすることもあるが、その姿がまた可愛らしく何となく許してしまう。
かれんがペコペコと頭を下げ、謝罪する。
「ごめんねー、準備に時間かかっちゃって。」
「全然いいの、気にしないで!」と、あやかが微笑みながらやさしくいう。
「いいよいいよ。かれん、今日は誘ってくれてありがとう。」
私もあやかに続き、やさしい言葉をかける。そしてお礼を付け加えることで、オリジナリティを出す。こんな風にいつもどうでもいいところにいらない個性を出し、自分自身を満足させている。
ふとかれんの方を見ると、少し頬を赤くして照れている。自分自身を満足させるために言ったことに対し、後ろめたさをも感じさせる彼女の純真な瞳には頭が上がらない。
彼女のよさは、素直に表情がでるところ。見ているこちらまでもほっこりとした気分にさせてくれる、純粋でとても可愛いらしい存在だ。
こんな感じで私達は集まり、何気ない話をしつつ行き当たりばったりで行き先を決める。
ふつう人間が三人も集まれば、友達同士であれ自ずと仕切ってくれるポジションの人間が現れるものだが、ここには存在しない。つまり、各々が自分のペースで生きていてリーダーがいない、とてもお気楽な三人組なのである。
この三人組に常識というものは存在しない。常にマイルールに乗っ取り行動しているため、傍から見れば迷惑な行為をしている可能性も否めない。しかし、三人も集まってしまうと罪の重さがどんどん軽くなってしまう。私だけじゃない、という心理になってしまった人間というのは最も質が悪い。
所詮人間というのは自分中心。自分さえよければそれでいいのだ。だからこそ、社会の中で生活する上で大切な一般常識というものから法律といったものまで用意されているのだと思う。
とりあえずはっきりいえることは、決まったレールが引かれていて常に皆が同じ方向を向くこの国で、私達が困った人種であることは間違いない、ということだ。
ぺちゃくちゃとおしゃべりをしながら歩いていると、落ち着いた雰囲気の喫茶店を見つけた。
ここなら長居しても大丈夫そうだ。そして、値段もお手頃価格。常に金欠に直面している学生にとって、ありがたい条件がそろっているお店だ。
後ろにいる友人達に提案をする。
「ここ、よさそうだね。入る?」
二人が首を縦に振ったので、店に入ることにした。店の中に入ると、落ち着いた雰囲気をまとった店員が応対してくれた。
「何名様ですか?」
「三人です。」
「こちらにどうぞ。」
店員が案内してくれた席に座り、メニューを広げる。
小さなお店の割にメニューが多い。たくさんあるメニューの中から自分が好きであろう最高の味を選び出すためには、それなりの時間と労力が必要だ。こうして、優柔不断な三人組のメニュー選びが幕を開けた。
迷うこと十分。何度、注文を取りに来た店員を追い返したことだろう。申し訳ないという想いを抱きながらも、またメニューとにらめっこしてしまう。
さらに迷うこと五分。ようやく各々が注文するものを決めた。早々に店員を呼び、注文をする。
あとは注文したものが運ばれてくるのを待つだけになった。ふつうならここで順番に近況報告をし合うところだが、この三人組の場合は違うのだ。各々が自由に話し始める。
どこからその話題が出てきたのか、脱線に脱線を重ね、もはやよくわからない状態になるのはいつものことだ。このような状態に慣れてしまうと、全然気にならなくなる。つくづく人間の『慣れ』というものが、いかに恐ろしいものなのかがわかる。
ひとしきり盛り上がった沈黙のあと、とうとう会話の糸口に困り、出来れば口にはしたくなかった禁断の質問をしてみる。
「そういえば、みんなはあれしてるの?」
かれんが顔を曇らせて心配そうにこう言った。
「してないよ。もうそろそろしなくちゃいけないんだろうね。でも、何からすればいいかわからないんだよね。」
「私もしてない。」と、あやかが重い口を開く。
「だよね、私も。どうしてもその気になれなくてさ。どうしようかと思ってた。」
私がそう言うと、二人は首を縦に振り同意してくれた。
やるしかない、動くしかない。世間の動きを完全に無視した形でこうしてこの場に集まっているこの三人組でさえも、心の奥底では分かっている。動かないでいることへの罪悪感、そして将来への不安。
何とも言えない空気になった時、あやかがポツリとつぶやいた。
「だって、私達水瓶座だもん。焦っていても仕方ないよ。」
「確かに、そうだね!」と言って、三人で笑い合う。
あやかの一言がこの空気をいい方向へともっていってくれた。世間的に見れば「仕方がない」という言葉で片づけていいわけがないのだが、少なくとも私を含めたこの三人はその魔法の言葉に元気と勇気をもらった。
私達三人の共通点。それは、水瓶座であるということ。星座占いで水瓶座の項目を見てみると、必ずといっていいほど「ユニークな」とか「独創的な」とか書いてある。ある占いの本に書かれていたものを借りると、水瓶座は「穏やかで独創的な天才」らしい。
何が言いたいのか、水瓶座の私にはわかる。つまり、「変人」だと言いたいのだ、と。占いというのはとてもいいように言ってくれるが、時としてその優しさが当人達を苦しめることになる。
穏やかだの天才だのといった言葉は、苦し紛れの言葉の綾に思えてしまう。しかし、そんなものに惑わされてしまう人間も多い。とはいえ、同じ水瓶座であるあやかの解釈は面白い。
以前この三人で食事をしていた時、「水瓶座は変人だけど、とてもいい人らしいよ。」と、真顔で言っていた。占いをいい意味に捉えることができる彼女の素直さを心の底から尊敬した。
つくづく「類は友を呼ぶ」ということわざがいかに正しいものなのだということを実感する。というのも、私にとってこんな変わり者ばかりの「水瓶座の座談会」がとても楽しく安心できる有意義な時間だと言っても過言ではないからだ。この会をなくして、私の学生生活は語れない。だから、私はこの二人をもっと大事にしていきたいと思う。
水瓶座だからとはいえ、将来のことを考えないわけにもいかない。今、私達の前には大きく厳しい現実の壁が立ちはだかっている。
どうにかモチベーションを上げるいい方法はないものかと甘いケーキを食べながら、必死に頭をひねる。しかし、アイデアというものはひねり出そうとすればするほど出てこない。
考えるのを諦めかけたその時、私の頭の中にいいアイデアが浮かぶ。早速、美味しそうにケーキを頬張る友人達に提案してみることにする。
「就活に身を入れるためにもさ、この三人で旅しない?」
「た、たび?」と、唐突すぎるその提案に二人は驚いた面持ちでこちらを見る。
「そう、このままモチベーション下がったままだとまずいでしょ。やる気啓発旅行だよ。」
いかにもよくわからない旅行の提案をする。
「や、やる気啓発旅行?」
目が飛び出そうなくらいびっくりした顔をこちらに向けている二人を尻目に淡々と提案を続ける。
「そうそう。水瓶座の女達のやる気啓発旅行。素晴らしい企画になる気がするんだけど、皆どう?行き先も期間も決めないで、旅をするっておもしろそうじゃない?」
「…楽しそう。でも、行き先も期間も決めないで大丈夫かな?」と、かれんが心配そうにつぶやく。
ごもっともな疑問だ。いつからか行き当たりばったりで旅行に行くことが当たり前になっていた私の頭の中にはこの疑問自体が生まれなくなっていた。自分の鈍さに唖然としながらもどうするべきかを考える。
そんな世間の中でも、とりわけ『石橋を叩いて渡らない』慎重なタイプである彼女たちの小さな、いや、とても重大な不安を払拭させなければならない。そのためには、彼女たちが安心でき且つメリットのある旅であることをプレゼンテーションする必要がある。
どうしたものかと途方に暮れていると、私の許にプレゼンテーションの神が降りてきた。
「ほら、就活で自己PRとかしなきゃいけないでしょ。その時のネタにもなるよ。臨機応変に立ち回る力があるとか行動力があるとか適当に言っとけば、イチコロ。二人とも慎重そうに見えるから、ギャップで内定ゲット。それに、無計画で旅するってことは臨機応変さを求められるし、宿を取ることだって自分達でしなくちゃダメでしょ。いい社会勉強にもなるし学生時代のいい思い出作りにもなって、さらに三人の仲がもっと深まる。いいこと尽くし。間違いなし。」
「なるほど!いいかも。」
かれんが納得したように笑顔になっていく。
プレゼンテーション大成功。プレゼンテーションの神様にお礼の言葉を述べ、心の中でガッツポーズをしかけたその時、あやかが口を開いた。
「でも、そんなことを書いたら臨機応変に対応する力とか行動力とか、
会社に入ってから求められちゃうんじゃない?」
この不完全なプレゼンテーションに水を差す、いや妥当ともいえる鋭いツッコミが入る。想定外のツッコミに返す言葉が見つからず、あえなく白旗を挙げる。こうして、私のプレゼンテーションは失敗に終わった。
しばし沈黙が続く。三人の間に何とも言えない空気が流れる。
「やる気啓発旅行、行こうよ。」
あやかが気まずい沈黙を破る。あんなに鋭いツッコミをしておきながら、実は反対ではなかったらしい。
思ってもみなかった変化球に返すにふさわしい次の言葉を必死で探す。しかし、私という人間はそう上手くはできていないようだ。
「えっ。あやちゃん、反対なんじゃないの?」
いかにも動揺したような声でこう聞き返すのが精いっぱいだった。
「そんなわけないじゃん。どうせ家にいたって何もしないで終わっちゃうし。それにさ、単純にこの三人での旅、面白そう。」
いつも冷静沈着で寡黙なあやかが興奮気味に話し始める。
「自己PRとかのためじゃなくて、単純に旅を楽しもうよ。そうした方が絶対いい思い出になるし。得るものが大きいと思うんだよね。みんなはどう思う?」
そうきたか。確かに理にかなっている。
社会に出るための準備すらしていない、いや正しくはする気がない人間が自己PRのネタ集めと称して旅に行くのは説得力に欠ける。ここは堂々と「旅に出てきます」と言った方がいいのかもしれない。
「確かに。純粋に楽しめた方がいいもんね。」
「でしょ?ナイスアイデア?」
あやかがニコニコしながら聞いてくる。普段の彼女からは想像が出来ないほどの斬新なアイデア。でも、いいアイデアであることは確かだ。
「うん、ナイスアイデア。かれんはどう思う?」
「旅行いこう!楽しみになってきた。」
「よし、じゃあ決まり!明日1時に奥澤の時計台前に集合!」
こんな感じで三人組が旅をすることに決まった。ドキドキと胸が高鳴っているのがわかる。目の前に座る友人達もどこか落ち着かない様子だ。彼女達もまた、同じ気持ちでいるに違いない。
私達は明日の準備のためにも、早々に喫茶店を後にすることした。
いつもなら奥澤の時計台の前で一時間ほどぺちゃくちゃおしゃべりをしてしまうのだが、この日は違った。奥澤の時計台の前に来ると、挨拶もそこそこにそれぞれの家のある方向へと帰っていった。
私もこのわくわくした気持ちと共に家へと帰り、明日の準備に取り掛かることにする。
あやか
早朝に山へ登り、日の出を見に行くのが日課だ。爽やかな一日のスタートに神秘的な気分を味わうことで、気持ちの整理をする。こうして今日も昨日と変わりない一日が始まるのだ。
慌ただしく動き回る一日よりものんびりとした日々に小さな幸せを感じる。しかし、そんな日常を侵されるような時期に今は来ているらしい。
〈今日を一生懸命生きる〉をモットーに生きる私に将来のことなど考える余裕などない。だから、たとえ周りがどれだけ慌ただしく動き回っていたとしても、私は今日も明日もいつもと同じように過ごす。
私の座右の銘は、焦りは禁物。これは、二十数年生きてきた経験の中で見つけた、生きていく上で私が大切にしていること。焦ることで、よいパフォーマンスが出来ない人々をよく目にする。自分の百パーセントの力を出すためには、いつも通りに振る舞うのが一番だ。
ジュ―ジュ―。朝食に食べる目玉焼きを焼く。黄身を真ん中に落とし、そして少し水を入れ蓋をし、蒸し焼きにする。これが目玉焼きを上手く焼くコツだ。よし、今日は上手く焼けた。
たかが目玉焼きだろ、と思うかもしれない。しかし、私からすれば、されど目玉焼きである。
その大きな理由は、オリジナル目玉焼き占い。朝に焼く目玉焼きが上手く焼ければ、今日はとってもいい日。可もなく不可もなくの焼き具合であれば、いい日。失敗であれば、ちょっといい日。私がまだ幼い幼稚園児だった頃、母と一緒に自分の身を守るために編み出したこの占いは、今も健在だ。
幼稚園、小学校、中学校、高校、大学。春になると毎年のように目覚ましく環境が変わるのが苦手だ。皆がわくわくしているクラス替えは苦痛でしかない。慣れてきた頃に変わるクラス、そして担任教師。一年をかけてやっと心を許し仲良くなってきたクラスの友達と離れ離れのクラスになった時の絶望感は半端ではなかった。
私と真反対である積極的なタイプのクラスメート達はその変化を楽しみ、次々に新しい友達を作っていった。でも、私のような自分からは動かない消極的なタイプの人間にとっては苦痛以外の何ものでもない。
だから、目玉焼きを焼いて今日の運勢を占ってから学校に行くことで精神を安定させてきた。朝にテレビで流れる星座占いよりもよっぽど安心できる代物だ。
朝ご飯を食べ終わったので、部屋に戻ることにした。
部屋のドアを開けると、愛犬のポッポが我が物顔で私のベッドに横たわっているのを見つけた。本来なら追い返すべきなのだろうが、かわいいだけで特に害があるわけでもないので放っておく。
ベッドの中にあるスマホを手に取り、ネットサーフィンをする。趣味であるものづくりのページが私の一番のお気に入り。こんなものを作ってみたいとか今度これに挑戦してみようとか、想像が大きく膨らむ。
ネットサーフィンをしていると、SNSにメッセージが入ってきた。
>今日、遊べる?☺
かれんからのメッセージが「水瓶座組」のグループに届いている。
「水瓶座組」は気の合う三人組で作ったグループ。そもそもこのグループの由来は、この三人の共通点が偶然にも水瓶座だったことから来ている。前に読んだ星座占いの本によれば、水瓶座は『穏やかで独創的な天才』だそうだ。こういったありがたいお言葉は、素直に受け取っておくのが一番いい。
もちろん、かれんからのメッセージに対する答えはイエス。この三人で久しぶりにゆっくりおしゃべりしたい。
即答でレスポンスをする。
>うちは遊べるよ(*´▽`*)
>やったー♪さやちんは?
>遊べる
>やったー!遊ぼ遊ぼ!☺
>わーい!(*´▽`*)どこいこ?
>3人で遊ぶなら、奥澤の方でいいんじゃない?
>お、さすが、さやちん!(*´▽`*)
>じゃあ、そうしよう☺
こうしてぽんぽんと話が進み、私達は遊ぶことになった。
さて、準備をしよう。着替え、化粧、ポッポのえさやり、その他もろもろ。こうやって挙げてみると、出る前にやるべきことがこんなにもあることに気づかされる。こんなにもたくさんあると、何から始めるかでまた迷ってしまう。いずれにしてもやらなくてはならないものばかりなのに、こういった判断はどうも苦手だ。
ようやく準備が出来たので、いつものように奥澤の時計台に向かうことにする。
真っ青できれいな空が広がっていた。絶好の遊び日和だ。ルンルンと胸を躍らせ、待ち合わせ場所へと向かう。
奥澤の時計台がみえてきた。あれ、あんなに急いだのにどうやら一番乗りではなかったらしい。私が来たことに気づいたらしいさやかが、手を振ってくれている。すかさず、手を振り返す。
ちょっと早足でさやかの許へ。
「おはよう、さやちん。もしかして大分待った?」
「おはよう、あやちゃん。ううん、全然。でも、急だったよね。本当に予定なかったの?」
「ないよ。朝、日の出さえ見に行けたら満足。」
「そっかー。今日も日の出行ってきたの?」
「うん。」
「どうだった?」
「今日もきれいだった。」
「そっかー、ほんとに素敵な日課だよね。」
さやかは面白い。この一言に限る。見ていてとても面白い、飽きない存在。どこか他人と違った視点を持っていて、独特な世界にいる子と言ったらわかりやすいだろうか。不器用で少し世間とずれている部分もあるけれど、彼女なりに気遣いをしてくれる、優しい友達思いの子だ。
まだ出会ったばかりの頃、あまり普段話さない、どちらかといえば友人達に素をさらけ出すことが少ないタイプの私にどんどんと素の自分をさらけ出し、しょうもないことを言っては笑わせてくれ、そして私の警戒心を解いてくれた。彼女は日課である日の出についても決して茶化すことなくうんうんと興味を持って聞いてくれる。そして、今ではなぜか彼女だけには愛犬ポッポのお話から日課である日の出の魅力まで話すようになった。
さやかの他愛のないおしゃべりをうんうんと聞いていると、向こうの方からかれんが走ってやってきた。
「ごめんねー、準備に時間かかっちゃって。」
私達二人は本当に来たばかりで全く気にしてはいないのに、ペコペコと頭を下げているかれんを気の毒に感じて、お決まりのあの言葉を口にする。
「全然いいの、気にしないで!」
その私の言葉にさやかも続いた。
「いいよいいよ。かれん、今日は誘ってくれてありがとう。」
私達の言葉に安心したかのように、彼女の表情がどんどんと柔らかくなる。彼女の可愛い笑顔を引き出せたことが、何よりうれしくてたまらない。
かれんを一言で表すと、純粋な心を持った天使みたいな子。言われたことをそのまま解釈してしまうし、人を疑うということがまずない。愛嬌があって憎めない、そんなタイプだ。私もあまり人のことは言えないが、とてものんびりマイペース。ほんわかとした雰囲気を醸し出している。
全員が集まったので、とりあえず私達は奥澤の時計台を後にする。どこに行くのか、決して目的地を決めないのが、私達の遊びの特徴。他愛のない話をしながら、しばらくぶらぶらと放浪した後に、どこかのお店に入るのがいつものスタイルだ。
「ここはどう?」と、さやかが私達二人に聞く。そこのお店は、大人っぽい雰囲気を持った上品な喫茶店だった。私達がうなずき、ここに入ることが決まった。
店員さんが案内してくれた席に座り、メニューを開く。的を絞るのにも時間がかかりそうな、美味しそうなメニューがずらりと並んでいる。決して優柔不断な訳ではない。他人よりも、少し決断が苦手なだけだ。
頼むメニューをようやく決め、店員さんに注文する。あとは、美味しいスイーツが運ばれてくるのを待つだけだ。
待っている間に色々な話をする。久しぶりに会ったこともあり、色々な話に花が咲いた。私の趣味の話、かれんの家電についての話、そして、さやかが夏休みから習い始めたらしいイタリア語のイケメン先生の話。
他にもたくさん話したが、なぜか思い出せない。でも、それだけその時々の会話を楽しんでいるということだと思う。
この三人でいると、次々と話題が変わっていく。これもまた、楽しみの一つだ。
こうしてわいわいと話をしているうちに、美味しいスイーツが運ばれてきた。ひとしきり盛り上がったところだったので、区切りがいい。静かにスイーツを食べ始める。
さやかの口から唐突に質問が飛んでくる。
「そういえば、みんな…あれしてるの?」
「してないよ。もうそろそろしなくちゃいけないんだろうね。でも、何からすればいいかわからないんだよね。」
かれんが答えてしまうと、私も答えなくてはならない状況に陥る。
こういった都合の悪い質問には、出来るだけ短めに答えるのが一番だ。
「私もしてない。」
「だよね…私も。どうしてもその気になれなくて…どうしようかと思ってた。」
何だ、二人ともまだしてないのか。私だけではなかった。
彼女達の言葉に安堵する私。同じような境遇の仲間がいるというだけで、心強い。これで、しばらくは何事も前向きに乗り切れそうだ。
ふとかれんの方を見ると、不安げな表情をしている。さやかの方を見ると、彼女は物思いにふけっている。数少ないこの仲間達が楽になれるように素敵な言葉をかける必要がある。
こういう時は、魔法の言葉をかけるのが一番だ。
「だって、私達水瓶座だもん。焦っていても仕方ないよ。」
「確かに、そうだね!」
二人が私の言葉に同調する。彼女達に笑顔が戻って本当によかった。心の底からうれしく思う。
美味しそうにケーキを頬張る二人。どうやら食欲も戻ったらしい。私も彼女達に続き、ケーキを食べる。
しばらくしてさやかから斬新すぎる提案がなされた。
「就活に身を入れるためにもさ、この三人で旅しない?」
「た、たび?」
提案を消化しきれていない私達を尻目に、彼女は喋り続ける。
「そう、このままモチベーション下がったままだとまずいでしょ。やる気啓発旅行だよ。」
「や、やる気啓発旅行?」
さらに、さやかは続けた。こうなってしまった彼女を止めることは不可能。最後まで聞くしかない。
「そうそう。水瓶座の女達のやる気啓発旅行。素晴らしい企画になる気がするんだけど、皆どう?行き先も期間も決めないで、旅をするっておもしろそうじゃない?」
「…楽しそう。でも、行き先も期間も決めないで大丈夫かな?」
そこまで考えていなかったらしい。さやかは言葉に詰まり、シンキングタイムに突入した。
何かを考え付いたらしい。彼女が機関銃のように話し始める。
「ほら、就活で自己PRとかしなきゃいけないでしょ。その時のネタにもなるよ。臨機応変に立ち回る力があるとか行動力があるとか適当に言っとけばイチコロ!二人とも慎重そうに見えるから、ギャップで内定ゲット!それに、無計画で旅するってことは臨機応変さを求められるし、宿を取ることだって自分達でしなくちゃダメでしょ。いい社会勉強にもなるし学生時代のいい思い出作りにもなって、さらに三人の仲がもっと深まる。いいこと尽くし。間違いなし!」
「なるほど!いいかも。」
かれんはさやかの言葉に納得したようだ。でも、私は納得できなかった。彼女の癇に障らないようにそっと反論する。
「でも、自己PRにそんなこと書いたら臨機応変に対応する力とか行動力とか、会社に入ってから求められちゃうんじゃない?」
私がそう言うと、さやかは何も言わない。三人の間に何とも言えない空気が流れているのがわかる。
やる気啓発旅行。決して行きたくない訳ではない。むしろ、私は行きたい気持ちでいる。
その案の中で一つだけ引っかかることがある。それは、この旅行を就職活動に結び続けようとしていることだ。
どうせなら単純に旅を楽しみたい。これが、私の本音だ。
「やる気啓発旅行、行こうよ。」
私の言葉に、さやかがびっくりした顔をする。
「えっ。あやちゃん、反対なんじゃないの?」
一言もそんなことは言っていないのに、なぜか案は却下されたものだと思っていたらしい。ここで訂正を入れる。
「そんなわけないじゃん。どうせ家にいたって何もしないで終わっちゃうし…それにさ、単純にこの三人での旅、面白そう。」
さらに伝えたかった本音も付け加える。
「自己PRとかのためじゃなくて、単純に旅を楽しもうよ。そうした方が絶対いい思い出になるし。得るものが大きいと思うんだよね。みんなはどう思う?」
「確かに。純粋に楽しめた方がいいもんね。」
「でしょ?ナイスアイデア?」
「うん、ナイスアイデア。かれんはどう思う?」
「旅行いこう!楽しみになってきた。」
「よし、じゃあ決まり!明日一時に奥澤の時計台前に集合!」
あっという間に私達の旅立ちが決まった。しかも、旅立ちは明日だ。
特に予定がなかった春休みに大きなイベントが現れ、ウキウキした気分になる。楽しい毎日が待っているに違いない。
目の前にある紅茶を一気に飲み干す。気持ちが高ぶっているからか、さっき飲んだ時よりも美味しく感じた。
紅茶を飲んで一息つくと、明日のためにも早く帰ることにした。
店員さんを呼び、会計を済ませる。
ここの店の美味しいケーキセットはとてもリーズナブルなお値段だった。お茶をするまでは決まっていなかったものの、明日から旅に出ることが決まった私達のために用意してくれていたようにも思えてくる。
会計を済ませると、すぐに店を出た。
いつものんびりマイペースの三人がリズミカルに歩いていく。奥澤の時計台の前で、二人と別れた。
帰路につきながら、こんなことを考える。
そういえば、今日の目玉焼き占いの結果はとてもいい日だった。たまたまかれんから連絡が来て、水瓶座組のメンバー全員でたまたま集まることが出来、しかも明日から旅に出ることに決まった。
こんなことを考えながら、ようやく家の前に戻ってきた。
家に入る前、きれいな青い空を見上げこう願った。
<とてもいい日が、明日も明後日もずっと続きますように。>
かれん
同じ映画が昨日の夜からずっと休みなく流れ続けている。
だんだんと飽きてきたけれど、私のためにずっと休みなく動いてくれているDVDに申し訳なくて、消せない。DVDは本当にすごいと思う。
布団から決して動こうとせずひたすら同じDVDを見続けている私に尊敬されても、きっとうれしくとも何ともないだろうけど。
何もやる気が起こらずこうしてぐうたらと過ごしていると、私のために働いてくれている炊飯器、洗濯機、食器洗い乾燥機、テレビのような家電までが尊敬の対象になってくる。
もうこんな時間か。大して何もやっていないのに、時間だけは過ぎていく。
同じ大学に通う友達の顔が浮かぶ。そういえば、しばらく連絡を取り合っていない。
みんなは元気にしているのだろうか。不意に誰かと連絡を取りたくなる。
しばらく見ることもなかったスマホをそっと手にする。誰にメッセージを送ろうか。人選の段階で、また迷ってしまう。
そうだ、『水瓶座組』にメッセージを送ろう。きっと彼女達なら何かを返してくれるはず。
>今日、遊べる?☺
そっとSNSにメッセージを打ち込む。仲がいいとはいえ、今送って迷惑ではないだろうか。そんな心配が頭をよぎり、送信ボタンを押せない。
押す、押さない。二つの選択肢が、ずっと頭を流れている。だめだ、全然決められない。スマホを片手に、余計迷ってしまう。
あっ。どうやら指が送信ボタンに触れてしまったらしい。送信保留にしていたはずのメッセージが、『水瓶座組』に流れる。
流れてしまった。後悔してもどうしようもない。心の中で忙しいのにごめんなさいと何回も謝る。
すぐにスマホが鳴る。そっとスマホを開く。
>うちは遊べるよ(*´▽`*)
返事はあやちゃんからだ。明るい内容のメッセージに、ほっとする。
彼女は穏やかで落ち着いた雰囲気の子。あまり自分からは話さないけれど、気持ちよく話をさせてくれる聞き上手だ。一緒にいて落ち着く、そんなタイプ。
すかさず喜びを表現する。そして、もう一人のメンバーであるさやちんにも、今日の予定を聞く。
>やったー♪さやちんは?
>遊べるよ
さやちんも遊べるみたいだ。メンバー全員で遊べるのが、とてもうれしい。
彼女はマイペースで自分の世界を持っている子。独特なアイデアをたくさん持っていて話を聞いていると、とても面白い。そして、一緒にいると楽しい、そんなタイプ。
>やったー!遊ぼ遊ぼ!☺
>わーい!(*´▽`*)どこいこ?
>3人で遊ぶなら、奥澤の方でいいんじゃない?
>お、さすが、さやちん!(*´▽`*)
>じゃあ、そうしよう☺
私のメッセージがきっかけとなり、こうして遊ぶことになった。送るタイミングは不本意だったけれど、集まれることになってうれしい。
そういえばパジャマのままだった。着替えをしなくちゃ。
久しぶりの外出。そうだ、お気に入りの服を着ていこう。それからお気に入りのネックレスも付けていこう。
クロゼットからお気に入りの服を出し、アクセサリーボックスからお気に入りのネックレスを取り出す。そして、すぐに着替える。
着替えの後は、メイク。すっぴんではとてもじゃないけど、出られない。出来るだけ早く、メイクをする。
準備が出来たので、家を出た。奥澤の時計台は、歩いて五分くらいの所にある。
時計台の前には、もう二人がいた。待たせてしまって申し訳ないという気持ちでいっぱいになる。急ぎ足で二人がいる所まで行く。
二人のそばまで行って、遅くなってしまったことを謝る。
「ごめんねー、準備に時間かかっちゃって。」
「全然いいの、気にしないで!」
「いいよいいよ。かれん、今日は誘ってくれてありがとう。」
私が謝ると、二人は優しい顔をして許してくれた。こんな優しい友達を二人も持って、私は幸せ者だと思う。
お店に入っておしゃべりをしようという話になった。特に強い希望もないので、とりあえずぶらぶらしてから入るお店を決めることにした。
「ここはどう?」
さやちんが私とあやちゃんに提案する。そこのお店はまったりとしていて、どこか大人な雰囲気があるお店だった。とてもいい感じ。
すかさず首を縦に振る。私達はそのお店に入ることに決まった。
席に着き、メニューを開く。美味しそうなスイーツの名前がたくさん並んでいる。どれもおいしそうで、選べない。
これにしよう。しばらく迷って、私はフルーツタルトとミルクティーのセットにすることにした。
さやちんはチーズケーキとカフェオレのセット。あやちゃんはいちごロールケーキとミルクティーのセット。
皆が頼むものを決めたので、さやかが店員さんを呼んでくれた。そして、店員さんにそれぞれが決めたものを注文した。ケーキが運ばれてくるのが待ち遠しい。
待っている間、三人で色々な話をした。一つ一つの話題で盛り上がる。
ケーキが運ばれてきた。すぐにフォークを持ち、食べ始める。
ケーキを食べていると、さやちんが話題を振ってきた。
「そういえば、みんな…あれしてるの?」
将来のことなんて、全くしていない。正直に答える。
「してないよ。もうそろそろしなくちゃいけないんだろうね。でも、何からすればいいかわからないんだよね。」
「私もしてない。」
「だよね…私も。どうしてもその気になれなくて…どうしようかと思ってた。」
あれ、みんなもしていないのか。でも、やっぱり将来が不安だ。どうなっていくのか。私は社会でやっていけるのか。そんな不安が、頭の中でぐるぐる回る。
いつも静かなあやかが一言。
「だって、私達水瓶座だもん。焦っていても仕方ないよ。」
私達三人は水瓶座。同じ星座だからなのか、とても気が合う。
あやちゃん曰く、「水瓶座は変人だけど、とてもいい人」らしい。あまり星座占いには興味がないのでよくわからないけれど、私達はいい人らしい。
「確かに、そうだね!」
そう言って、皆で笑い合う。何だかその言葉に安心して、ケーキを食べるのを再開する。
さやちんが何かの提案をする。
「就活に身を入れるためにもさ、この三人で旅しない?」
「た、たび?」
斬新なアイデアすぎて、頭がついていかない。
「そう、このままモチベーション下がったままだとまずいでしょ。やる気啓発旅行だよ。」
説明に新しい単語が出てきて、余計に頭がこんがらがる。
「や、やる気啓発旅行?」
「そうそう。水瓶座の女達のやる気啓発旅行。素晴らしい企画になる気がするんだけど、皆どう?行き先も期間も決めないで、旅をするっておもしろそうじゃない?」
おもしろい。でも、不安なところがある。
「…楽しそう。でも、行き先も期間も決めないで大丈夫かな?」
「ほら、就活で自己PRとかしなきゃいけないでしょ。その時のネタにもなるよ。臨機応変に立ち回る力があるとか行動力があるとか適当に言っとけばイチコロ!二人とも慎重そうに見えるから、ギャップで内定ゲット!それに、無計画で旅するってことは臨機応変さを求められるし、宿を取ることだって自分達でしなくちゃダメでしょ。いい社会勉強にもなるし学生時代のいい思い出作りにもなって、さらに三人の仲がもっと深まる。いいこと尽くし。間違いなし!」
そんなメリットがあるのか。彼女の言葉に妙に納得してしまう。
「なるほど!いいかも。」
「でも、自己PRにそんなこと書いたら臨機応変に対応する力とか行動力とか、会社に入ってから求められちゃうんじゃない?」
確かにそうだ。あやちゃんの言い分にも納得させられる。
しばらくして、あやちゃんがポツリといった。
「やる気啓発旅行、行こうよ。」
「えっ。あやちゃん、反対なんじゃないの?」
私もそう思っていた。さやちんの意見に反対だからそういったのかと思っていたけれど、違ったらしい。
「そんなわけないじゃん。どうせ家にいたって何もしないで終わっちゃうし。それにさ、単純にこの三人での旅、面白そう。」
さらにあやちゃんが続ける。
「自己PRとかのためじゃなくて、単純に旅を楽しもうよ。そうした方が絶対いい思い出になるし。得るものが大きいと思うんだよね。みんなはどう思う?」
なるほど、そういうことか。彼女の案にも納得できる。
さやちんがあやちゃんに同意する。
「確かに。純粋に楽しめた方がいいもんね。」
「でしょ?ナイスアイデア?」
「うん、ナイスアイデア。かれんはどう思う?」
もちろん、賛成。力強く返事をする。
「旅行いこう!楽しみになってきた。」
「よし、じゃあ決まり!明日1時に奥澤の時計台前に集合!」
ワクワクした気持ち。明日から始まる旅が楽しみでたまらない。残っていた飲み物を飲み終わると、すぐに店を出た。
二人と奥澤の時計台の前で別れた。早く帰って、明日の準備をしなくちゃ。急ぎ足で、家へ向かう。
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