大富豪と君と焼肉定食。
オリオン
大富豪と君と焼肉定食。
今日も僕の家に友人が集まる。大体の時は飲みながら語り合うか、テレビゲームで遊ぶかってとこだ。今日は誰が言い出したのかトランプで遊んでいる。皆懐かしいとか言って楽しんでいる。ちなみに今は大富豪中。僕は大貧民、隣の君は大富豪。
「やったー! また大富豪〜!」
「嘘だろ! またかよー! 今回こそ勝てそうだったのにー」
「イカサマしてたりして〜」
君はいつも皆の真ん中。僕はそんな君に恋をした。無邪気に笑う君は素敵だ。君があんまり素敵だから告白したい気持ちがいつも心に閉ざされちゃう。今日こそ僕は告白する。ちなみに今も僕は大貧民。
「うぃー! 俺大富豪!!」
「わぁ、負けたわ」
「お! あと1枚じゃん! やっと大貧民抜け出せるか?」
君の隣は大富豪。僕は富豪になれるかも。
「あがり!」
「わぁー、2枚であがったかー!」
あぁ…。今の僕は平民で、隣の君も平民さ。
「わりぃ、彼女の呼び出しなんでお先失礼〜!」
「私バイトだった〜! 帰るね! また今度!」
1人ずつ帰っていく中、君は帰らない。今日こそ僕は君に告白する。
「3人で大富豪ってやりがいないなー」
僕と君と彼、3人で続ける大富豪。未だ大富豪にはなれない僕。あと、お腹が空いてきた。
「やったー! 大富豪!」
「初大富豪じゃん! 逆にすごいわ!」
「おめでとう」
彼は笑って、君は微笑んで、僕は喜んで。たかが大富豪も楽しいもんだ。
「腹減ったー! 飯行こうぜ!」
「あ、近くに僕がよく行く定食屋さんがあるよ」
「お! じゃあ、そこ行こうぜー!」
「私も行くー!」
3人で食べるご飯もおいしいだろうな。今日は何にしようか。からあげ定食? アジフライ定食? やっぱりいつもの焼肉定食?
「ここの定食屋さんだよ、入るね」
\プルルルル/
「ん? えー、今から飯なんすけどー! マジすかー?」
…?
「わりぃ、先輩に呼び出しくらった。2人で行って! ほんとごめん! また今度!」
彼は急いで走っていってしまった。君と2人きり。今日こそ告白できるかも。
「何がオススメ? 全部おいしそうで迷う〜!」
「僕はいつも焼肉定食だよ。アジフライもオススメかな。ここのアジフライ大きくておいしいんだ。味噌汁もとってもおいしいよ。何の定食にもついてくるんだ。」
「ふふふ、焼肉定食にする」
「わかった。すみませーん、焼肉定食2つで!」
「いつもありがとうねー、あら、彼女さん?」
「い、いえ、友人で」
「こんばんは〜、友人です」
君はまた“ふふふ”と笑って、定食屋のおばさんと何かこそこそ話してた。
「ごちそうさまでしたー」
「おいしかったです! また来ます! ごちそうさまでした!」
「また2人で来てね〜!」
「えっと…」
「はい! 是非!」
え…!? 嬉しいけど、びっくりした。おばさんと君が笑ってる? 社交辞令…かな? いや、告白するんだ、受け入れてもらえたらまた来れる。頑張れ、僕。今日こそは。
「ほんとおいしかったー! また行こうね!」
「うん、あのさ…」
「次は彼女って紹介されたいなー、なんて」
「…え?」
ふふふと照れくさそうな君が続けた。
「ふざけちゃった、ごめん。好きです、付き合ってください」
「え、あ! はい! 喜んで!」
「やったー!」
「僕も言おうとしてたんだけど、先越されちゃった…」
「じゃあ私の勝ちだね、大富豪ー!」
「じゃあ僕は大貧民かな?」
「うーん、2人とも大富豪!」
「はは、何それ」
「わっかんなーい!」
2人で笑い合う。君からの告白は予想外。でも、素敵な1日だった。
今日の思い出、“大富豪と君と焼肉定食”。
大富豪と君と焼肉定食。 オリオン @orion-ringo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます